top of page

Divergent Patent Lawブログ

米国特許出願・権利化、PTAB実務、米国連邦巡回区控訴裁判所の動向、および国境を越えた特許戦略に関する解説。

韓国の調査手数料改定を踏まえたISAの選択米国PCT出願人のための実務的な比較

執筆者の写真: Brandon Theiss
Brandon Theiss
13 時間前
読了時間: 19分

要旨:韓国が公表した米ドル建ての国際調査手数料の引上げにより、2026年11月1日から手数料は783米ドルから867米ドルとなる。この改定は、米国のPCT出願人にとって、予定する国内段階移行までの費用を踏まえて国際調査機関(ISA)の選択を見直す契機となる。本稿の標準手数料の前提では、米国国内段階へ移行するスモールエンティティについて、米国特許商標庁(USPTO)の合計費用が韓国より79米ドル低くなり、マイクロエンティティについても、USPTOの合計額が本稿の比較で最も低い。フィリピン知的財産庁(IPOPHL)は、基準となる600米ドルの手数料により、低コストの外国ISAとして検討に値する。ただし、別途設けられた200米ドルの軽減料金については、適用資格と徴収手続の確認を要する。欧州での保護を予定する出願人にとって、欧州特許庁(EPO)の高い当初手数料には、その後の欧州での調査料及び審査料の節減と、早期に欧州の見解を得られる価値が見込まれる。選択に当たっては、調査対象、受入能力、時期及び事業上重要な請求項も考慮する。米国機関による有利な調査・審査結果、第II章の予備審査及び特許審査ハイウェイ(PPH)も判断に影響し得るが、それぞれの条件、手続上の効果及び追加費用を個別に評価する必要がある。

はじめに

韓国の国際調査手数料が米ドル建てで引き上げられ、一部の米国出願人について、僅差であった費用比較の結果が変わる。2026年11月1日から、手数料は783米ドルから867米ドルへと84米ドル、約10.7%上昇する。従来、韓国特許庁(Korean Intellectual Property Office、KIPO)として知られていた機関は、現在、韓国知識財産処(Ministry of Intellectual Property of the Republic of Korea、MOIP)となっている。 U.S. Patent & Trademark Off., Patent Cooperation Treaty (PCT) News and Announcements, “November 1, 2026 Change to MOIP Search Fee” & “August 1, 2026 Change to MOIP Search Fee”, https://www.uspto.gov/patents/basics/international-protection/patent-cooperation-treaty/pct-news-announcements (last visited Oct. 28, 2026).

今回の発表により変更されるのは、調査のために徴収される米ドル額である。世界知的所有権機関(WIPO)は、英語による調査の手数料を引き続き120万ウォン(KRW 1,200,000)と表示している。 World Intell. Prop. Org., PCT Applicant’s Guide, annex D (Republic of Korea), https://pctlegal.wipo.int/eGuide/view-doc.xhtml?doc-code=KR&doc-lang=en&doc-type=annex (last visited Oct. 28, 2026).

通常のRO/USへの出願では、受理官庁が国際出願を受理した日に、適用される調査手数料の額が確定する。その後の支払日によって額が変わることはなく、支払期限は通常、受理から1か月以内である。 Regulations Under the Patent Cooperation Treaty rr. 15.3, 16.1(f) (Jan. 1, 2026) [hereinafter PCT Regulations].

米国出願人にとっての実務上の影響は、エンティティ区分と権利化の経路によって異なる。以下で用いる通常のスモールエンティティの米国国内段階移行の前提では、今回の引上げにより、従来の韓国の5米ドルの優位が、USPTOの79米ドルの優位へと逆転する。大規模主体では、依然として韓国を選ぶ方が相当程度安い。フィリピンは、さらに低価格の外国ISAという選択肢を提供する一方、欧州での権利化を予定する出願人にとっては、当初からEPOによる調査の費用を負担する価値があり得る。

国際調査機関の選択は、想定する移行先と、その移行を決める前に必要な情報に基づいて行う。今回の手数料改定は、すべてのPCT出願で同じISAを選ぶという従来の指示を見直す好機となる。

ISAは通常、関連する先行技術を示す国際調査報告(ISR)と、請求された発明がPCTの特許性の基準を満たしていると認められるかを評価する見解書を作成する。任意の第II章の国際予備審査では、補正や意見を踏まえた追加の評価を受けることができる。これらの調査・審査結果は、その後の手数料や審査手続に異なる影響を与え得る。 World Intell. Prop. Org., Protecting Your Inventions Abroad: Frequently Asked Questions About the Patent Cooperation Treaty (PCT), questions 15, 18 & 23 (Aug. 2026), https://www.wipo.int/en/web/pct-system/faqs/faqs. したがって、発行機関、報告の結論及び評価対象となった請求項を、それぞれ確認することが重要である。

米国出願人が選択できる8つのISA

USPTOを受理官庁(RO/US)として英語のPCT出願を行う場合、各機関の条件を満たすことを前提に、8つのISAを選択できる。下表は、USPTOのRO/US手数料表に記載された外国ISAの額を使用し、外国機関の規則に基づく別個の軽減措置は適用しない前提である。米国のスモールエンティティ又はマイクロエンティティの資格はUSPTOの調査手数料を軽減するが、外国官庁の規則に基づく適用資格は別の問題である。 World Intell. Prop. Org., PCT Applicant’s Guide, annex C (United States of America) (Aug. 20, 2026), https://pctlegal.wipo.int/eGuide/view-doc.xhtml?doc-code=US&doc-lang=EN&doc-type=ANNEX; U.S. Patent & Trademark Off., PCT Fees in US Dollars (effective Aug. 1, 2026), https://www.uspto.gov/patents/basics/international-protection/patent-cooperation-treaty/pct-fees-us-dollars.

国際調査機関

調査料(USD)

公表されたRO/USの受入枠

米国特許商標庁(USPTO)

大規模主体 $2,400スモール $960マイクロ $480

数値上限の記載なし

韓国知識財産処(MOIP)

$867

数値上限の記載なし

欧州特許庁(EPO)

$2,237

数値上限の記載なし

日本国特許庁(JPO)

$1,059

四半期ごとに500件2023年7月1日~2028年6月30日の合計10,000件

オーストラリア知的財産庁(IP Australia)

$1,555

四半期ごとに250件

イスラエル特許庁

$1,446

該当する会計年度上の各四半期につき100件

シンガポール知的財産庁

$1,816

数値上限の記載なし

フィリピン知的財産庁(IPOPHL)

$600

会計年度上の各四半期につき75件

韓国の手数料は、2026年10月31日までは783米ドルである。「数値上限の記載なし」は、WIPOの現行の米国附属書における記載を指す。公表された受入枠は、特定の出願日に受入余力が残っていることを意味しない。

この出願経路では、通常、英語の使用に支障はない。RO/USは英語を受理し、表中の各機関はいずれも、RO/USを通じて受理した英語出願を調査できる。日本又は韓国を選択したこと自体によって、日本語又は韓国語への翻訳が必要になるわけではない。特に四半期ごとの受入枠がある機関を利用する場合は、受入余力を別途確認する。 World Intell. Prop. Org., PCT Applicant’s Guide, annex C (United States of America) (Aug. 20, 2026).

国際事務局を受理官庁として出願しても、世界中のすべてのISAを自動的に選べるようになるわけではない。PCT規則35.3によれば、管轄は原則として、その出願を受理し得た受理官庁に応じて決まる。出願人の国籍や住所が、この判断に影響する場合がある。 PCT Regulations r. 35.3.

重要な請求項が調査対象となることの確認

ある機関を選択できることだけでは、調査対象に関するすべての問題は解決しない。PCT規則39.1は、ISAが、一定のビジネス方法、医療方法などの指定された分野について調査を行わないことを認めている。また、コンピュータ・プログラムについては、当該機関が関連する先行技術を調査する体制を備えていない範囲で、調査を行わないことを認めている。コンピュータ・プログラムに関する規定については、ソフトウェアは一律に調査されないと考えるのではなく、より具体的な検討を要する。 PCT Regulations r. 39.1(iii), (iv), (vi).

USPTOは、米国国内出願で調査する対象について、国際調査でも調査を行うと表明している。EPOは、技術的性質が明らかでないビジネス方法を、調査を行わない対象としている。技術的特徴と商業的な手順が組み合わされた請求項では、選択する機関がどの特徴を評価する可能性があるか、また、その評価が発明の事業上の価値を捉えるかを検討する。 U.S. Patent & Trademark Off., Manual of Patent Examining Procedure § 1843.02 (9th ed., rev. 01.2024) [hereinafter MPEP]; Eur. Pat. Off., Guidelines for Search and Examination at the EPO as PCT Authority, pt. B, ch. VIII, § 2.2 (2026), https://www.epo.org/en/legal/guidelines-pct/2026/b_viii_2_2.html.

古いISA選択表も、判断を誤らせるおそれがある。RO/US出願に対する日本の従来のグリーン技術に関する制限は、2018年7月1日に撤廃された。イスラエルの従来のビジネス方法の分類に関する条件も、2016年4月10日に撤廃された。これらの変更により撤廃されたのは特定の二国間の制限であり、通常のPCTの調査に関する規則は引き続き適用される。 U.S. Patent & Trademark Off., Notice Concerning the Japan Patent Office’s Action as an International Searching Authority and International Preliminary Examining Authority for International Applications Received by the United States Patent and Trademark Office, 1454 O.G. 51 (Sept. 4, 2018), https://www.uspto.gov/web/offices/com/sol/og/2018/week36/TOC.htm; U.S. Patent & Trademark Off., Notice Concerning the Israel Patent Office’s Action as an International Searching Authority and International Preliminary Examining Authority for International Applications Received by the United States Patent and Trademark Office, 1, https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/mod-ilpo-isa-ipea.pdf (last visited Oct. 28, 2026).

ソフトウェア、診断方法、治療方法その他、機関の調査対象の限界に近い請求項については、出願前に各機関の最新の指針を確認する。周辺的な請求項について有利な見解を得ても、最終的に望む権利範囲にはほとんど役立たない場合がある。

外国ISAの選択肢としてのフィリピン

フィリピン知的財産庁(IPOPHL)は、8年間の取決めに基づき、2024年3月6日からRO/US出願人が選択できるISAとなった。この取決めは、出願人が同庁を選択した英語出願を対象とし、受入件数を会計年度上の各四半期につき75件に制限している。IPOPHLは、国際調査を自ら実施したことを含む所定の条件を満たす場合には、国際予備審査機関(IPEA)としても活動できる。 U.S. Patent & Trademark Off., Philippines IP Office Now an International Searching Authority and International Preliminary Examining Authority Available to U.S. Applicants Under the Patent Cooperation Treaty (Mar. 6, 2024), https://www.uspto.gov/subscription-center/2024/philippines-ip-office-now-international-searching-authority-and.

600米ドルというIPOPHLの手数料は、本稿で比較する外国ISAの中で最も低い。韓国が公表した改定後の手数料より267米ドル、約31%安い。他の条件が同等の20件の出願で利用できれば、当初の調査手数料の差額は5,340米ドルとなる。ただし、受入れが可能であることが前提となる。本稿で使用する標準的な外国ISAの手数料を前提とすると、米国のマイクロエンティティについては、480米ドルのUSPTOの調査手数料の方が低い。

この比較に依拠する前に、IPOPHLの別個の手数料軽減が適用されるかを確認する。WIPOのフィリピン附属書Dには、同国の小規模主体の定義を満たす出願人について、200米ドルの調査手数料が記載されている。その定義には、自然人又は法人について資産額1億フィリピン・ペソを上限とする基準と、所定のフィリピン政府機関が含まれる。この定義は、米国のスモールエンティティ及びマイクロエンティティの区分とは異なる。 World Intell. Prop. Org., PCT Applicant’s Guide, annex D (Philippines) (effective Jan. 1, 2026), https://pctlegal.wipo.int/eGuide/view-doc.xhtml?doc-code=PH&doc-lang=en&doc-type=annex. 本稿の例では、引き続きRO/USの基準額である600米ドルを用いるのが適切である。個々のRO/US出願人について、必要な資格証明書類と徴収手続を関係官庁に確認する必要があるためである。200米ドルの料金が適法に適用される場合、以下と同じ通常の米国移行の前提では、米国のスモールエンティティの合計額は924米ドル、マイクロエンティティでは562米ドルとなる。これらは条件付きの計算であり、適用資格の判定を示すものではない。

この価格差を踏まえ、IPOPHLを韓国と並べて評価する価値がある。当該技術分野での経験、作成される報告が関連する先行技術を明確に説明しているか、及びその時期が出願人の次の意思決定に役立つかを検討する。PPH又は第II章に期待する効果は、予定する経路ごとに確認する。価格だけでは、調査の質が優れているとも劣っているとも判断できない。

継続的に出願する者にとっては、四半期ごとの受入枠も実務運営上の重要な要素となる。出願期限前に受入れの可否を確認し、代替ISAについて合意しておく。ポートフォリオの方針では、IPOPHLを候補に挙げつつ、受入余力や個別出願の事情が他の機関を示す場合には、その利用を必須としない運用が可能である。

予定する米国移行までの手数料の比較

国際調査手数料は、ISAの選択によって影響を受ける最初の費用にすぎない。35 U.S.C. § 371に基づく米国国内段階移行を予定する出願人では、その後の調査料も国際調査によって変わる。以下は、後述する所定の米国機関の調査・審査結果に対する特別な取扱いを適用する前の、通常の手数料である。外国ISAの場合の料金は、国際調査報告が作成され、USPTOに提出されているか、又は国際事務局から送付されていることを前提とする。 37 C.F.R. § 1.492(a), (b)(2)–(3), (c)(2) (2026).

米国国内段階の手数料項目

大規模主体

スモールエンティティ

マイクロエンティティ

基本国内手数料

$350

$140

$70

USPTOによる調査後の調査料

$150

$60

$30

所定の外国ISAのISRがある場合の調査料

$580

$232

$116

通常の審査料

$880

$352

$176

当初のISA手数料に、該当する基本国内手数料、調査料及び審査料を加えると、次の比較となる。エンティティ区分と手数料率は移行時まで変わらないものとし、韓国については公表された867米ドルを用いている。これらの合計は、一部の官庁手数料を示すものであり、出願予算全体ではない。

ISA手数料と通常の米国移行手数料の合計

大規模主体

スモールエンティティ

マイクロエンティティ

米国特許商標庁(USPTO)

$3,780

$1,512

$756

韓国知識財産処(MOIP)

$2,677

$1,591

$1,229

欧州特許庁(EPO)

$4,047

$2,961

$2,599

日本国特許庁(JPO)

$2,869

$1,783

$1,421

オーストラリア知的財産庁

$3,365

$2,279

$1,917

イスラエル特許庁

$3,256

$2,170

$1,808

シンガポール知的財産庁

$3,626

$2,540

$2,178

フィリピン知的財産庁(IPOPHL)

$2,410

$1,324

$962

公表されたISA手数料と通常の米国国内段階の手数料から算出した。 37 C.F.R. §§ 1.445(a)(2), 1.492(a), (b)(2)–(3), (c)(2) (2026); U.S. Patent & Trademark Off., PCT Fees in US Dollars (effective Aug. 1, 2026). 韓国については、公表された11月1日からの額を使用している。調査対象の発明は1つとし、エンティティ区分の変更はなく、特別な軽減、免除又は返還もないものとする。共通のPCTの送付手数料及び国際出願手数料、追加調査、超過請求項数及び出願規模に応じた手数料、翻訳、第II章、専門家報酬並びにその後の権利化手続の費用は含まない。実際の移行日における手数料や区分は異なる場合がある。

スモールエンティティの比較は、韓国の手数料引上げの効果を示している。当初の手数料は、USPTOが960米ドル、韓国が867米ドルで、USPTOの方が93米ドル高い。一方、通常の国内段階の調査料は、USPTOの場合が60米ドル、韓国の場合が232米ドルで、USPTOの方が172米ドル低い。合算すると、USPTOが79米ドル有利となる。従前の韓国の料金783米ドルでは、同じ前提の下で韓国が5米ドル有利であった。

この通常のスモールエンティティの例では、IPOPHLの合計額は1,324米ドルであり、いずれよりも低い。大規模主体では、韓国はUSPTOより1,103米ドル安く、IPOPHLはさらに267米ドル安い。マイクロエンティティでは、USPTOの756米ドルが本稿の例で最も低い合計額となる。これらの計算が示すのは手数料の差であり、調査の有用性を測るものではない。

この比較は、実際に米国へ移行することも前提としている。既存の米国出願を維持しながら、主として外国での選択肢を確保するためにPCTを利用する出願人は、これらの§ 371の手数料を負担しない可能性がある。国内段階での将来の節減は、予定する経路で実際に生じる場合にのみ算入する。

米国機関の有利な見解とバイパス継続出願の考慮

所定のISA/USの見解書又はIPEA/USの国際予備審査報告が、米国国内段階に移行する出願で提示されたすべての請求項について、PCT第33条(1)~(4)の新規性、進歩性及び産業上の利用可能性を満たすと示している場合、国内段階の調査料及び審査料はいずれもゼロとなり得る。対象となる請求項群は、米国移行時に提示されるものである。異なる請求項群について有利な判断を得ただけでは、この取扱いを受ける資格は認められず、外国ISAの有利な見解だけでこれらの特定の規定が適用されるわけでもない。 37 C.F.R. § 1.492(b)(1), (c)(1) (2026); MPEP § 1893.03.

所定のISA/USの見解があるスモールエンティティでは、国際調査の960米ドルに基本国内手数料140米ドルを加え、合計は1,100米ドルとなる。これは、通常のUSPTOの例より412米ドル低い。この効果は条件付きであり、ISA/USを選択しても有利な見解が保証されるわけではない。

この手数料上の取扱いを受ける出願人は、その手続上の効果も考慮する必要がある。37 C.F.R. § 1.496により、これらの出願は通常の順番に先立って審査される一方、国内段階の処理開始後の補正は、方式上の不備への対応又は拒絶された請求項の削除に限定される。この制限は、所定の手数料上の取扱いに伴うものであり、ISA/USを選択したこと自体によって生じるものではない。スモールエンティティの412米ドルの節減を、予定する請求項の補正と併せて評価する。 37 C.F.R. § 1.496 (2026); MPEP § 1893.03.

外国ISAによる調査の後でも、所定のIPEA/USの報告が意味を持つ場合があるが、その経路には、審査料、取扱手数料及び専門家報酬が追加される。第II章を国内段階の手数料を減らす手段として評価する前に、これらの費用を含める必要がある。そのより大きな価値は、国内での権利化を決める前に、補正を踏まえた審査記録を得られる機会にあるかもしれない。

米国で利用する出願方式も同様に重要である。§ 111(a)に基づくバイパス継続出願には§ 1.16の手数料体系が適用される一方、§ 371の国内段階移行には§ 1.492が適用される。選択する経路の手続上の理由を評価し、実際の手数料を算定する。§ 371の調査料の節減を、バイパス継続出願の比較にそのまま当てはめることはできない。 37 C.F.R. §§ 1.16, 1.492 (2026); MPEP § 1896.

欧州移行を想定する場合のEPOの評価

欧州広域段階への移行を予定する出願人にとって、EPOの高い当初調査手数料は、異なる費用構造の中で評価される。EPOが国際調査を行った場合、通常、補充欧州調査は不要となる。そのため、出願人は、現在1,595ユーロである関連手数料の負担を回避できる。 Eur. Pat. Off., Guidelines for Examination in the European Patent Office, pt. A, ch. XIV, § 5 (2026), https://www.epo.org/en/legal/guidelines-epc/2026/a_xiv_5.html.

審査料も含める必要がある。補充欧州調査報告が作成されない場合の審査料は2,240ユーロであるのに対し、作成される場合は2,010ユーロである。したがって、EPOと韓国を通常の条件で比較すると、関係する後続の手数料は次のとおりとなる。 Eur. Pat. Off., Fees for International Applications (applicable Apr. 1, 2026), https://www.epo.org/en/applying/fees/international-fees/important-fees.

欧州の調査及び審査

ISAがEPOの場合

ISAが韓国の場合

補充欧州調査

€0

€1,595

審査

€2,240

€2,010

合計

€2,240

€3,605

この段階における通常の差引きの優位額は1,365ユーロとなる。1,595ユーロの調査料だけを比べると、EPOで調査する経路の審査料が230ユーロ高いことを無視し、節減額を過大に評価することになる。当初のEPOの手数料は、2,237米ドルから867米ドルを差し引いた1,370米ドルだけ、韓国が公表した改定後の手数料より高い。

予算上の換算レートを明示的に定めるまでは、両通貨を分けて扱う。この計算は、標準手数料、欧州移行、追加調査や特別な軽減がないことも前提としている。韓国がISAとして活動したこと自体によって、特定の機関を対象とするEPOの補充調査料の定額軽減の対象となるわけではない。 Eur. Pat. Off., Guidelines for Examination in the European Patent Office, pt. A, ch. X, § 9.5.1 (2026), https://www.epo.org/en/legal/guidelines-epc/2026/a_x_9_5_1.html.

支出の時期も重要である。EPOを選択すると、後の欧州での節減を見込んで、国際段階で多く支払うことになる。欧州移行前に出願を断念した場合、その節減は実現しない。米国と欧州の両方へ移行する出願人については、当初のISA手数料を二重計上せず、両法域での影響を含める。

EPOの早期の見解は、欧州での権利化を進めるか、また、欧州向けの請求項をどのように構成するかの判断にも役立つ。手数料の計算上は僅差であっても、その情報が当初の追加負担を正当化する場合がある。その価値は、出願人の欧州事業への取組みと、報告によって判断する事項に左右される。

価格と併せた調査範囲と時期の評価

調査の質を国別の順位に還元することは難しい。より有用なのは、その機関が関連する先行技術を特定するか、指摘事項を明確に説明するか、及び事業上重要な請求項を扱うかを検討することである。類似出願での経験や現在の実績データは、ある官庁が常に厳しい、速い又は優れているという一般的な想定よりも参考になる。

発明の単一性は、予算を大きく変えることがある。基本調査手数料が、出願に記載されたすべての発明を必ずしもカバーするわけではない。出願前に、追加調査と、請求項を未調査のままにすることの影響を検討する。例えば韓国では、英語出願で調査する追加の発明ごとに、120万ウォン(KRW 1,200,000)が定められている。 World Intell. Prop. Org., PCT Applicant’s Guide, annex D (Republic of Korea).

複数の関連製品又は技術的な実施形態に関する出願では、ISAの選択と併せて請求項の構成を検討する。当初の調査が安価でも、追加の発明を調査する必要があれば費用は増え得る一方、追加調査を受けない場合には、価値ある対象について得られる情報が少なくなることがある。

時期は、具体的な意思決定に結び付けて考える。ライセンス交渉、資金調達、請求項の補正又は国内段階の予算策定に必要な報告は、その判断前に得られれば実務上の価値が高い。すべての機関が国際段階の同じ時点で有用な結果を出すと想定するのではなく、現在のデータと関連する経験を確認する。

見解書にも限界がある。PCT手続自体が世界共通の特許を付与するわけではなく、保護を認めるかは各国又は広域の官庁が決める。特許性の調査は、請求項が特許保護を受け得るかを扱うのに対し、実施自由(freedom to operate)の検討は、事業活動が権利行使可能な権利を侵害するかを扱う。有利な調査結果が得られても、この別の問いへの答えにはならない。 World Intell. Prop. Org., Protecting Your Inventions Abroad: Frequently Asked Questions About the Patent Cooperation Treaty (PCT), questions 1, 18 & 24 (Aug. 2026).

ISA選択前の第II章とPPHの計画

ISAの選択は、その後の審査の選択肢にも影響し得る。任意の第II章の請求により、国際予備審査を求めることができる。利用可能なIPEAとその条件は、別途確認する。予算には、取扱手数料及び審査料、追加発明に関する手数料の可能性、並びに補正及び意見書を準備する費用を含める。 World Intell. Prop. Org., PCT Applicant’s Guide, annex C (United States of America) (Aug. 20, 2026); U.S. Patent & Trademark Off., PCT Fees in US Dollars (effective Aug. 1, 2026).

EPOは原則として、国際調査がEPO又は他の欧州のISAによって行われた場合にのみIPEAとして活動する。本稿で扱うRO/USの8つの選択肢の中では、このことから、EPOの第II章の審査を予定する出願人にとって、出願時にEPOを選択することが重要となる。 Eur. Pat. Off., Guidelines for Search and Examination at the EPO as PCT Authority, pt. B, ch. II, § 1.1 (2026), https://www.epo.org/en/legal/guidelines-pct/2026/b_ii_1_1.html.

EPOの第II章の審査は、その後の欧州審査料にも影響する。EPOが所定の国際予備審査報告を作成した場合、その審査料は75%軽減される。この軽減は、特許性について有利な結論が得られたかどうかには左右されない。ただし、PCT第34条(3)(c)に基づいて報告の対象が限定され、報告の対象外の事項が審査される場合には、軽減は適用されない。 Eur. Pat. Off., Rules Relating to Fees, art. 14(2), https://www.epo.org/en/legal/epc/2020/f14.html (last visited Oct. 28, 2026). EPOをISAとする出願で、標準手数料を用い、その他の軽減がない場合、対象となる費用は次のとおりである。

対象となる手数料項目

EPOの第II章を利用しない場合

所定のEPOの第II章を利用する場合

国際予備審査

€0

€2,010

取扱手数料

€0

€215

欧州審査

€2,240

€560

対象手数料の合計

€2,240

€2,785

軽減後の欧州審査料は、2,240ユーロの25%、すなわち560ユーロである。予備審査の2,010ユーロと取扱手数料215ユーロを加えると2,785ユーロとなり、第II章を利用しない場合の審査料2,240ユーロより545ユーロ増える。専門家報酬や追加発明に関する手数料があれば差額はさらに増え、他の軽減措置により変わる可能性もある。第II章は、自動的な費用節減策としてではなく、追加の審査を受ける価値に基づいて評価する。 Eur. Pat. Off., Fees for International Applications (applicable Apr. 1, 2026).

有利なPCTの調査・審査結果は、該当する特許審査ハイウェイ制度に基づく申請にも利用できる場合がある。USPTOのグローバルPPH/IP5の枠組みでは、対応する出願又は調査・審査結果において少なくとも1つの請求項が許可可能又は特許可能と判断され、米国出願のすべての請求項がその有利な請求項と十分に対応しており、かつ、米国出願の実体審査が開始されていないことが必要である。出願人は、必要な裏付け書類の提出を含む、その他の制度上の要件も満たす必要がある。 U.S. Patent & Trademark Off., Implementation of the Global and IP5 Patent Prosecution Highway (PPH) Pilot Programs with Participating Offices, 2–3, https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/global-ip5.pdf (last visited Oct. 28, 2026).

PPHは、該当する制度の下で出願の審査を早めるものであり、選ばれた有利な請求項だけを早期審査し、その横で、対応要件を満たさない無関係な広い請求項を進めるための経路ではない。審査官庁は、特許性について独自の判断を維持する。PPHを利用する前に、制度の要件を満たす米国の請求項群が、事業上の目的にも合致するかを検討する。 World Intell. Prop. Org., PCT-Patent Prosecution Highway Program (PCT-PPH and Global PPH) (Feb. 12, 2026), https://www.wipo.int/en/web/pct-system/filing/pct_pph.

出願ごとのISAの選択

本稿で用いる標準的な外国ISAの手数料を基準とすると、§ 371に基づく米国移行を予定するマイクロエンティティには、まずUSPTOを検討する強い費用上の理由がある。同じ経路を予定するスモールエンティティについては、USPTO、韓国及びIPOPHLを合計費用で比較し、報告の有用性や時期がその差額を上回るかを検討する。国際段階での資金支出を抑えたい大規模主体にとっては、韓国及びIPOPHLが価格面で引き続き有力な候補となる。

欧州での権利化を予定する出願人については、EPOによるその後の手数料の節減と、早期の欧州審査の見解を得る価値を評価する。日本、オーストラリア、イスラエル又はシンガポールが、関連する経験、調査への期待又は予定する審査経路に基づき、個別の出願に適する場合もある。選択は、その出願と出願人の計画に結び付ける。

簡潔な選択メモにより、判断の一貫性を確保できる。管轄と受入余力を確認し、エンティティ区分と想定する国内段階を記録し、実際に生じる手数料を比較し、調査、時期、第II章又はPPHに関する重要な事項を特定する。選んだISAの理由を、出願指示とともに記録する。結果として再び韓国を選択することになっても、その判断は、現在の出願と現行の手数料を反映したものとなる。

著者について

Brandon R. Theiss

  • LinkedIn
画像サイズ変更プロジェクト - 2026年7月22日

Brandon R. Theissは、AddyHartのDivergent Patent Law部門に所属する、テクノロジー分野を中心に扱う米国登録特許弁護士です。ソフトウェア、クラウドコンピューティング、データ分析、医療機器、自動化システム、自動車システムなどの技術について、米国特許出願・権利化、特許付与後手続、特許適格性、特許戦略に関する助言を提供しています。Villanova University Charles Widger School of Lawの非常勤教授を務めるほか、FDA and Intellectual Property Strategies for Medical Device Technologiesの共著者でもあります。

購読する

bottom of page