情報開示陳述書出願から特許発行まで

要旨
適切な情報開示陳述書(Information Disclosure Statement、IDS)の実務には、既知の重要な情報であって、既に記録にある情報と実質的に重複しないものを開示する義務と、審査官による考慮を受けるための手続要件を整合させることが必要である。37 C.F.R. §§ 1.56, 1.97–1.98 (2026). 本稿では、審査の段階、証明陳述の要件、提出書類の内容および適用される手数料が、出願から特許発行までの開示判断にどのように影響するかを検討する。関連出願には特有の課題がある。A社が類似技術に関する出願XおよびYの権利化手続を進める場合、Yにおいて引用された文献および審査官の論拠について、Xに対する重要性を評価しなければならない。出願が同一の者に帰属するというだけで、すべての文献が当然に重要となるわけではないが、別の審査官による実質的に類似したクレームの拒絶は、その基礎となる文献とは独立して、それ自体が開示を要する情報となり得る。Dayco Prods., Inc. v. Total Containment, Inc., 329 F.3d 1358, 1367–69 (Fed. Cir. 2003). また、本稿では、特許査定後の提出方法、継続審査請求、Quick Path Information Disclosure Statementプログラム、および特許存続期間調整に関する別個の規則を説明する。したがって、適切なポートフォリオ管理には、権利化を担当するチーム間の迅速な連絡、文献および通知の履歴の正確な管理、出願ごとの開示判断、ならびに提出情報が実際に考慮されたことの確認が求められる。これらの実務は、手続上の選択肢を確保し、費用を管理し、開示の遅れによる影響を軽減するうえで役立つ。
I 審査終盤で判明した文献への対応
A社は、米国特許出願Xについて特許査定通知を受領した。特許発行手数料(issue fee)を納付する前に、同社の特許担当チームは、類似技術に関する出願Yのオフィスアクション(Office action)を受領する。Yの審査官は、Xで許可されたクレームにも含まれる特徴を拒絶するために、文献Rに依拠している。YにおいてRを開示すれば足りるのか。Xが特許査定済みであることによって、答えは変わるのか。代理人は、情報開示陳述書を提出し、手数料を納付するだけでよいのか。
これらの問いに答えるには、情報の重要性、その情報の履歴、およびXの手続状況を一体として検討する必要がある。実体的な開示義務は規則56に基づく一方、情報開示陳述書、すなわちIDSによって情報の考慮を受けるには、別個の提出要件および内容要件を満たさなければならない。See 37 C.F.R. §§ 1.56, 1.97–1.98 (2026). 本稿は、通常の米国実用特許出願を対象として、関連出願により生じる追加的な問題も含め、当初の審査から特許発行までの各段階における対応を検討する。
II 開示義務と審査官による考慮との関係
規則56は、特許性にとって重要な既知の情報を開示する義務を含む、誠実かつ善意で行動する義務を課している。同規則の重要性の基準は、既に記録にある情報と実質的に重複しない情報であって、単独で、または他の情報と組み合わせて、特許性の欠如について一応の立証を成立させるもの、あるいは、特許性を否定する主張に反論し、または特許性を主張する出願人の立場を反駁し、もしくはこれと矛盾するものを対象とする。この義務は、係属中の各クレームについて、当該クレームが削除され、もしくは審査対象から取り下げられるまで、または出願が放棄となるまで継続する。出願が係属している限り、特許査定によってこの義務が終了することはない。37 C.F.R. § 1.56(a)–(b) (2026).
この義務は、出願に記載された各発明者、出願の作成または権利化手続に携わる各弁護士または特許代理人、ならびに、出願の作成または権利化手続に実質的に関与し、かつ、発明者、出願人、譲受人、または出願の譲渡を受ける権利を有する者と関係を有するその他のすべての者に課される。これらの者を特定することは、情報の開示にも、情報を知った時期に関する後の証明陳述にも重要である。37 C.F.R. § 1.56(c) (2026).
規則の遵守と、後の訴訟で主張される不公正行為(inequitable conduct)の抗弁も区別すべきである。Therasense判決は、欺く具体的な意図と、原則として、その情報が開示されていれば特許が成立しなかったという重要性(but-for materiality)を、それぞれ別個に立証することを要求している。ただし、積極的かつ著しく悪質な不正行為については例外がある。開示漏れがあったというだけで不公正行為が当然に成立するわけではなく、訴訟上の基準が、実務家が権利化手続中に適用すべき開示規則に取って代わるわけでもない。Therasense, Inc. v. Becton, Dickinson & Co., 649 F.3d 1276, 1290–95 (Fed. Cir. 2011) (en banc).
IDSは、審査官に情報を提示するための手続上の手段である。その提出は、調査を実施したことの表明でも、引用情報が重要であることの自認でもない。他方、適用される要件を満たさないIDSは、出願記録に残っても考慮されない場合がある。37 C.F.R. § 1.97(g)–(i) (2026). したがって、確実な実務のためには、どの情報を開示しなければならないか、また、どのような提出をすればその情報の考慮を受けられるか、という二つの問いを検討する必要がある。
III 提出時期の選択
第1.97条は、権利化手続が進むにつれて、より厳格な要件を課す提出方法を定めている。通常の実用特許出願における主な提出期間は、次表のとおりである。いずれの方法でも、内容要件を満たすとともに、該当する場合には件数に応じた手数料を納付する必要がある。37 C.F.R. § 1.97(a)–(d) (2026).
提出段階 | 提出時期に関する陳述と手数料 |
米国出願または国内段階移行から3か月以内、または最初の実体審査通知より前。RCE後の最初のオフィスアクションより前も含む。 | 第1.97条(b)に基づき、いずれも不要 |
該当する初期の提出期間の経過後で、最終オフィスアクション、特許査定通知、またはその他の審査手続を終結させる通知の発送前 | 第1.97条(c)に基づき、第1.97条(e)の陳述または提出時期手数料のいずれかが必要 |
上記の期間の経過後から、特許発行手数料の納付日まで | 第1.97条(d)に基づき、第1.97条(e)の陳述と提出時期手数料の両方が必要 |
初期の提出期間は、それぞれ独立した選択肢である。実体審査に関するオフィスアクションが例外的に早く発出されても、それ以外の点で利用可能な3か月の提出期間が失われるわけではない。ただし、継続審査請求(Request for Continued Examination、RCE)によって新たな3か月の期間が生じることはない。次のオフィスアクションが速やかに発出される可能性があるため、代理人は通常、RCEと同時にIDSを提出すべきである。U.S. Pat. & Trademark Off., Manual of Patent Examining Procedure § 609.04(b)(I) (9th ed., rev. 01.2024) [hereinafter MPEP].
期限管理では、実際の手続上の出来事を記録する。第(c)項の期間は、Ex parte Quayle通知を含む、審査手続を終結させる通知の発送日より前に終了する。第(d)項の方法は、その要件を満たすことを条件として、特許発行手数料の納付日まで利用できる。この納付日は、納付期限より前である場合がある。37 C.F.R. § 1.97(c)–(d) (2026); MPEP § 609.04(b)(II)–(III). 納付日の納付後の時刻に提出されたIDSも、引き続き通常のIDS手続の対象となる。同日にQuick Path Information Disclosure Statement(QPIDS)プログラムに基づく提出を行うのは、時期尚早である。U.S. Pat. & Trademark Off., Frequently Asked Questions—QPIDS Program, question 12 (Jan. 19, 2025), https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/qpids_faq.pdf [hereinafter QPIDS FAQ].
IDSの提出には、第1.136条に基づく期間延長は認められない。誠実な提出の試みにもかかわらず不注意により内容が欠落した場合に認められる限定的な補完の機会は、一般的な提出期間の延長を認めるものではない。37 C.F.R. § 1.97(f) (2026); MPEP § 609.04(b)(VI).
IV 利用可能な証明陳述の判断
第1.97条(e)により認められる二つの証明陳述は、それぞれ異なる事実に基づく。第(e)(1)項では、対象となる各情報が、対応する外国出願に関する外国特許庁の通知において、直前の3か月以内に初めて引用されていなければならない。第(e)(2)項では、対象となるいずれの情報も、対応する外国出願に関する外国特許庁の通知において、過去のいかなる時点にも引用されていてはならない。さらに、署名者は、合理的な調査を行ったうえで、規則56の対象者のいずれかがIDS提出の3か月超前から知っていた情報があるとは認識していないことを証明しなければならない。37 C.F.R. § 1.97(e)(1)–(2) (2026).
外国特許庁の通知に基づく方法では、その通知の日付を基準とする。日付が二つ記載されている場合は、発送日を用いる。代理人による受領が遅れた場合や、同じ情報が再度引用された場合でも、期間は再起算されない。それ以前に個人が文献を知っていたという事情だけで、この方法が利用できなくなるわけではない。また、米国を指定するPCT出願は、この規定の適用上、対応する外国出願には該当しない。MPEP § 609.04(b)(V).
情報を知った時期に基づく方法では、「昨日受け取った」という説明だけでは不十分である。代理人は、関係する者がその情報をいつ知ったかについて合理的な調査を行わなければならない。同様に、今日になって文献の重要性を認識したからといって、その文献を初めて知ったのが今日であるとは限らない。例えば、発明者が6か月前のXの作成時にRを提供していた場合、Yで新たな拒絶がなされても、一般に、XにおけるRの認識時期に関する期間が新たに始まることはない。See 37 C.F.R. § 1.97(e)(2) (2026); MPEP § 609.04(b)(V).
異なる証明陳述の対象となる情報を一つのIDSで提出する場合は、情報ごとの検討が必要である。IDSでは、それぞれの認められた証明陳述がどの情報を対象とするかを指定できる。一群の情報について正確な陳述であっても、その条件を満たさない別の群の情報について用いることはできない。MPEP § 609.04(b)(V). 新たに発出されたオフィスアクションと、その基礎となる以前から存在する文献は、別々に検討する必要がある。各情報には固有の履歴があり、オフィスアクションの日付が新しいことを利用して、Rについて不正確な陳述をすることはできない。
この区別は、特許査定後には決定的となる。いずれの証明陳述もできず、第(b)項の提出期間も残っていない場合、提出時期に応じた手数料の納付だけでは第(d)項の要件を満たさない。対象となる実用特許出願では、必要な提出書類および手数料を伴うRCEにより審査を再開し、再開された審査手続を通じて情報の考慮を受けることができる。See 37 C.F.R. §§ 1.97(d), 1.114 (2026); MPEP § 1308(I)(A).
V 二種類のIDS手数料の計算
第1.17条(p)に基づく提出時期に応じた手数料は、現在、減額を受けない出願人について280米ドル、スモールエンティティについて112米ドル、マイクロエンティティについて56米ドルである。これとは別の第1.17条(v)に基づく件数に応じた手数料(size fee)は、当該出願において出願人が提供した情報の累計件数によって決まる。この手数料には、スモールエンティティまたはマイクロエンティティ向けの減額は適用されない。37 C.F.R. § 1.17(p), (v) (2026).
累計件数 | IDSによりしきい値を超えた場合の件数手数料 |
50件以下 | なし |
51~100件 | 200米ドル |
101~200件 | 500米ドルから、既納の該当する件数手数料を控除 |
200件超 | 800米ドルから、既納の該当する件数手数料を控除 |
出典 37 C.F.R. § 1.17(v) (2026).
件数手数料は、IDSの提出によって累計件数が所定のしきい値を超えたときに発生する。同じ区分内で、その後IDSを提出するたびに再度課されるものではない。したがって、48件から55件に増加した場合は、200米ドルが発生する。95件から110件に増加した場合、以前に200米ドルを納付していれば、追加で300米ドルを納付する必要がある。これらの金額は、提出時期手数料とは別個のものである。See 37 C.F.R. §§ 1.17(v), 1.97(a) (2026).
米国特許商標庁(USPTO)の件数計算に関する指針に照らすと、ポートフォリオの適切な管理は費用面でも意味を持つ。件数は出願ごとに計算され、RCEによってリセットされない。また、出願人が同じ情報を重複して記載した場合、原則として再度件数に算入される。ただし、要件不備により以前に考慮されなかった情報を再提出する場合には例外がある。親出願で引用された情報は、出願人が子出願に再提出しない限り、子出願において出願人が提供した情報の件数には含まれない。U.S. Pat. & Trademark Off., Quick Reference Guide to the Information Disclosure Statement (IDS) Size Fee and Size Fee Assertion 4, questions 11–13, https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/quick-reference-guide-to-the-information-disclosure-statement-ids.pdf (last visited Sept. 24, 2026) [hereinafter IDS Fee Guide].
これらの要件は、以前に出願された案件も含め、2025年1月19日以降に提出されるIDSに適用される。それ以前に出願人が提供した情報も累計件数に含まれるが、施行日前にしきい値を超えていたという事実だけで、遡及的な手数料が発生することはない。Id. at 1, 4–5, questions 2, 4, 14–15. 例えば、ある出願で、2025年1月19日より前に出願人が提供した情報が70件あり、その後のIDSにより合計が110件になったとする。以前に件数手数料を納付していなければ、必要な納付額は500米ドル全額であり、200米ドルを控除することはできない。IDS Fee Guide, supra, at 8, ex. 8. したがって、事務所は、今回の文献リストの長さから金額を推定するのではなく、件数と納付履歴の両方を保持すべきである。
VI 審査官が考慮できる提出書類の作成
適時に提出されたIDSであっても、第1.98条を満たさなければならない。提出書類には、適切な形式の文献リスト、各文献に応じた識別情報、および必要な写しが求められる。米国特許および公開された米国特許出願については、通常、USPTOから要求されない限り写しを提出する必要はない。その他の写しの提出義務の例外については、審査官が電子データベースにアクセスできることから推測するのではなく、規則に照らして確認すべきである。37 C.F.R. § 1.98(a)–(d) (2026).
英語以外の情報には、原則として、その情報について最もよく知る義務対象者が現時点で理解している関連性の簡潔な説明が必要である。完全な英訳を当該情報に添付する場合には、別途の簡潔な説明は不要である。文献の関連性を示す英語の外国調査報告またはオフィスアクションによっても、説明要件を満たせる場合がある。MPEP § 609.04(a)(III). 既存の書面による英訳が義務対象者の占有、保管もしくは管理下にある場合、またはその者が容易に入手できる場合には、当該英訳を提出しなければならない。この規則は、すべての外国語文献について完全な翻訳を新たに作成するよう、一律に要求するものではない。37 C.F.R. § 1.98(a)(3) (2026).
すべてのIDSには、該当する件数手数料を併せて納付する旨、または件数手数料が不要である旨を明確に記載した書面による申告を含めなければならない。この申告は、第1.97条(e)の提出時期に関する証明陳述とは別のものである。予納口座からの引落しに関する一般的な授権だけでは、該当する具体的な件数手数料が明確に特定されていない限り、不十分である。37 C.F.R. § 1.98(a)(4) (2026); IDS Fee Guide, supra, at 2, questions 6–7.
提出後は、審査官による考慮の表示を確認し、未考慮とされた情報について対応する。提出受領証が示すのは書類の受領であり、何が考慮されたかを示すのは審査官の取扱いである。See MPEP § 609.05. 特に特許査定が近い段階では、内容の不備を是正するために、次の手続上の提出期間が終了する前に対応しなければならない場合があるため、この最終確認が有用である。
VII A社の別出願で引用された文献
Xにおける重要性および関係者の評価
A社の出願XおよびYに戻る。出願が同一の者に帰属し、対象技術が類似していることは、連携した検討を行う理由にはなるが、いずれの事情も、Yで引用されたすべての文献をXにとって重要なものとするわけではない。Rの教示を、Xのクレームおよび既に記録にある情報と比較する必要がある。Yにおける拒絶は、評価すべき資料であって、このようなクレームごとの分析に代わるものではない。See Dayco Prods., Inc. v. Total Containment, Inc., 329 F.3d 1358, 1366–67 (Fed. Cir. 2003).
例えば、Yが較正方法に関し、Xが特定のセンサ構造をクレームしているとする。Rによる較正の開示は、Xにとって重要な情報を何も付け加えないかもしれない。しかし、A社がXを先行技術と区別するために依拠した構造上の特徴もRに開示されていれば、分析は変わる。代理人は、両出願が同じ技術分野に属するという分類から判断するのではなく、実際の開示内容および権利化手続中の主張を検討すべきである。See 37 C.F.R. § 1.56(b) (2026).
次に、誰がその情報を知っているか、また、その者がXについて第1.56条(c)の対象となるかを確認する。共通の発明者、共通の権利化代理人、およびXに実質的に関与する社内担当者から確認を始めるのが自然である。同規則は、すべての従業員の知識を当然に会社のすべての出願に帰属させるものではない。それでもA社は、個々人の義務を確実に履行できるよう、別々の外部事務所も含む担当チーム間で、関連するオフィスアクションを共有すべきである。See 37 C.F.R. § 1.56(c) (2026); MPEP § 2001.06(b).
文献と併せたオフィスアクションの評価
Yのオフィスアクション自体が、Rとは別に重要な情報を含むことがある。Dayco事件で連邦巡回区控訴裁判所は、基礎となる文献と、別の審査官による実質的に類似したクレームの拒絶とを区別し、その不利な判断が規則56の下で重要であるとした。同裁判所は、一人の審査官が他の審査官の解釈に拘束されるわけではないことも認めている。Dayco, 329 F.3d at 1367–69. 現行のMPEPは、実質的に類似したクレームについて相反する審査判断がなされる場合に、特に注意を向けるよう求めている。MPEP § 2004, item 9. Dayco判決は、相反する審査判断に関する規則56上の分析の指針となるが、Therasense判決後の不公正行為の抗弁を規律する、重要性および意図に関する別個の要件に取って代わるものではない。See Therasense, 649 F.3d at 1290–95.
したがって、RがXの記録に含まれているからといって、検討が終わるわけではない。Xで採られた立場を損なう教示、クレーム解釈または組合せも含め、オフィスアクションを独立して評価する必要がある。その通知に含まれる情報を義務対象者が知っており、Xに規則56を適用した場合に、その情報が重要で、かつ既に記録にある情報と実質的に重複しないのであれば、Xでの開示が必要となる。37 C.F.R. § 1.56(a)–(b) (2026). Yとの関係またはYの内容が重要である場合には、Y自体も特定する。同じ審査官が両出願を担当しているからといって、それぞれの記録に含まれる関連情報をすべて認識していると想定してはならない。See MPEP §§ 2001.06(b), 2004, item 9.
Xにおける考慮を求めてYのオフィスアクションを提出する場合には、IDSのリスト上で、通常は非特許文献の欄に、そのオフィスアクションを別個に特定し、必要な判読可能な写しを提出する。基礎となる特許または出願だけを記載しても、当該審査書類を別個に特定したことにはならない。See 37 C.F.R. § 1.98(a)(1)–(2), (d) (2026); MPEP § 609.04(a)(I)–(II).
米国の親出願については、限定的な情報の引継ぎ実務がある。Xが、Yを親出願として適切に特定した継続出願、分割出願または一部継続出願である場合、Yですでに考慮された情報は、単にXでの考慮を受けるためだけであれば、通常、再度記載する必要はない。親出願に提出されたものの考慮されていない情報については、別の取扱いが必要である。同一の者に帰属すること、または兄弟出願であることだけでは、この親出願から子出願への例外は適用されない。See MPEP § 609.02(II)(A)(2), (B)(2). 情報が考慮されることと、特許公報に印刷されることは別である。親出願の文献を、Xから成立する特許の公報に掲載したい場合には、出願人はXにおいてそれらをリストに記載しなければならない。MPEP § 2001.06(b). 再記載すれば、それらの出願人提供情報は、Xの件数手数料の計算にも加算される。IDS Fee Guide, supra, at 4, question 11.
Xの手続状況および文献の履歴に基づく対応
Xにおける提出方法は、Xの状況によって決まる。Yにおいて最近発出された米国のオフィスアクションは、それ自体では、第1.97条(e)(1)の外国特許庁の通知に基づく証明陳述の根拠とならない。情報を知った時期に基づく証明陳述は利用できる場合があるが、必要な調査を行い、外国特許庁の通知で引用されていないという条件を満たすことが前提となる。See 37 C.F.R. § 1.97(c)–(e) (2026). Yに対してRが新たに引用されたという事実は、Xの担当者がRを新たに知ったことを意味しない。
Xについて第(b)項の提出期間がすでに終了し、特許査定がなされているものの、特許発行手数料は未納であるとする。Rが重要であり、関連するすべての情報について、情報を知った時期に基づく証明陳述に根拠がある場合には、その陳述、提出時期手数料、件数手数料に関する申告、および必要な件数手数料を伴う、要件に適合したIDSをXに提出する。義務対象となる発明者が6か月前からRを知っており、いずれの証明陳述も利用できない場合には、代わりにRCEを検討する。See 37 C.F.R. §§ 1.97(a), (d)–(e), 1.98(a)(4), 1.114 (2026). 件数手数料はXの件数に基づいて計算する。YにRを提出したことによって、Xへの提出に係る手数料が納付済みになるわけではない。See id. § 1.17(v).
VIII 特許発行手数料の納付日の翌日以降の対応
QPIDSを利用できるのは、特許発行手数料の納付日の後で、かつ特許発行日より前の日である。納付日当日にも、特許発行日当日にも利用できない。QPIDS FAQ, supra, question 12. 要件に適合した提出であれば、審査官が審査の再開は不要と判断した場合、QPIDSにより、RCEを処理せずに情報の考慮を受けられることがある。U.S. Pat. & Trademark Off., Quick Path Information Disclosure Statement (Jan. 19, 2025), https://www.uspto.gov/patents/initiatives/quick-path-information-disclosure-statement-qpids.
QPIDSによる提出には、請求を特定する独立した送付書、要件に適合したIDSおよび第1.97条(e)の陳述、提出時期手数料、件数手数料に関する申告および該当する件数手数料、特許発行手続からの取下げを求めるウェブベースの申立ておよびその手数料、ならびに条件付きRCEおよびその手数料が必要である。該当する件数手数料を含むQPIDSのすべての手数料は、USPTOの予納口座からの引落しを授権する方法で納付しなければならない。QPIDS FAQ, supra, questions 2, 20, 24.
現行の様式PTO/SB/09には、証明および請求の記載欄が設けられている。補正書を併せて提出すると、RCEは自動的に受理される。要件に適合したQPIDS提出について、情報が審査の再開を必要としない場合、RCEは処理されず、その手数料が返還される。一方、情報が審査の再開を必要とする場合、RCEが処理され、提出時期手数料が返還される。U.S. Pat. & Trademark Off., PTO/SB/09, Certification and Request for Consideration of an Information Disclosure Statement Filed After Payment of the Issue Fee Under the QPIDS Program 1, items 8–9 (Jan. 2025), https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/sb0009.pdf.
RCEが自動的に受理されても、それだけでIDSの不備が解消されるわけではない。PTO/SB/09は、件数手数料に関する申告、または該当する件数手数料の引落授権が欠けている場合、条件付きRCEが受理される一方、IDSは未考慮のままとなることを明示的に警告している。Id. at 1, items 3–4. 代理人は、情報の内容により審査が再開される場合と、提出の不備によってRCEが受理される場合とを区別し、残っているIDSの不備を是正したうえで、考慮されたことを確認しなければならない。
第1.97条(e)に基づく真実の陳述をすることができないという問題は、QPIDSでは解決しない。代わりに、要件に適合したRCEを伴う、通常の発行手続からの取下げの申立てが適切となる場合がある。時期は極めて重要である。申立ては、権限を有する担当官が特許発行前に受領して認容しない限り、出願を発行手続から取り下げる効力を生じない。37 C.F.R. § 1.313(c)(2), (d) (2026). 代理人は、対応可能な時間が残っている間に、手続の結果を確認しなければならない。
IX 特許存続期間調整の別個の検討
特許存続期間調整(Patent Term Adjustment、PTA)のセーフハーバーは、別個の、延長できない30日間の期間に基づく。必要な陳述を伴う場合、IDSのみから成る書類については第1.704条(c)(6)および(8)~(10)による減算を、IDSのみを提出書類とするRCEについては第1.704条(c)(12)による減算を回避できる。各情報は、要件を満たす特許庁の通知において初めて引用されたものであるか、またはそれ自体が要件を満たす通知でなければならない。規則56の義務対象者のいずれも、IDS提出の30日超前に当該通知を受領していてはならない。37 C.F.R. § 1.704(d)(1)–(2) (2026).
要件を満たす通知には、対応する外国出願または国際出願について特許庁が発出した通知だけでなく、別の出願においてUSPTOが発出した通知も含まれ得る。したがって、Yのオフィスアクションは、それ自体では外国特許庁の通知に基づく提出時期の陳述の根拠にはならなくても、XにおけるPTA上の保護の根拠となり得る。同じ情報を引用する、要件を満たす通知が以前に存在していれば、30日間のセーフハーバーを利用できなくなる場合がある。MPEP § 2732(IV).
IDSとともに、変更を加えていない様式PTO/SB/133および書類コードPTA.IDSを使用する。現行規則は、これらを必須要件としている。37 C.F.R. § 1.704(d)(3) (2026). 第1.97条の3か月の条件を満たしていても、この30日間のセーフハーバーの要件を満たすことにはならない。反対に、セーフハーバーを利用できなかったからといって、当然に減算が生じるわけでもない。適用される遅延の規定および権利化手続上の出来事を、さらに評価する必要がある。See id. § 1.704(c)–(d).
セーフハーバーが対象とするのは、特定の出願人遅延による減算であり、継続審査が特許存続期間に及ぼすすべての影響を排除するものではない。RCEに伴うIDSがセーフハーバーの要件を満たしていても、RCE提出から特許査定通知の発送までの継続審査期間が除外されることにより、RCEは、3年間の係属期間に関する規定に基づく調整に、別途影響を及ぼす場合がある。37 C.F.R. §§ 1.703(b)(1), 1.704(d) (2026).
期限管理では、異なる起算の基礎となる日付を区別して保持する。第1.97条(e)(1)では外国特許庁の通知の日付、第1.97条(e)(2)では関係者が情報を知った履歴、第1.704条(d)では要件に該当する受領日が重要となる。これらを単一の「IDS提出期限」にまとめてしまうと、回避可能な誤りを招く。
X 確実な開示実務の構築
A社は、オフィスアクションを受領するたびに、また特許発行手数料を納付する前に、簡潔で反復可能な確認手順を設けることで、これらの規則を実務に落とし込むことができる。影響を受ける可能性のある出願を担当するチームに通知を回付する。その引用文献および論拠を、各出願のクレームおよび記録と比較する。義務対象者を特定し、証明陳述の根拠となる日付を保持する。そのうえで、提出方法を選択し、二種類の手数料を別々に計算し、内容および陳述の要件を満たし、PTAを別途検討し、情報が考慮されたことを確認する。
案件記録からは、どの情報を検討したのか、それがクレームにとってなぜ重要であったのか、どの手続を利用したのか、そして審査官が何を考慮したのかという判断の内容を理解できるようにすべきである。これは、すべての書類を無差別にポートフォリオ内の全出願へ提出する作業にする必要はない。USPTO自身も、関連性の低い資料を長大なリストに並べ、その中に重要な情報を埋没させることに注意を促している。MPEP § 2004, item 13.
冒頭の仮定事例では、実効性のある対応は、A社がXの特許発行手数料を納付する前から始まる。Yの拒絶を契機として、R、オフィスアクションおよびXの記録を検討し、その結果必要となる開示を、Xの手続要件に従って行う。通知の迅速な共有と文献履歴の正確な管理は、特許発行が近づくにつれて費用が増大し、または利用できなくなる提出上の選択肢を確保する。





