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Divergent Patent Lawブログ

米国特許出願・権利化、PTAB実務、米国連邦巡回区控訴裁判所の動向、および国境を越えた特許戦略に関する解説。

電子特許と原因が明らかでない発行遅延発行手続の透明性を求めて

執筆者の写真: Brandon Theiss
Brandon Theiss
10月11日
読了時間: 13分

要旨:米国特許商標庁(USPTO)が正式な特許証を電子形式で交付する制度へ移行したことにより、法的効力を有する特許証の物理的な送付は不要となった。一方、記念用の紙の写しは、希望者に引き続き提供されている。実務家の報告によれば、USPTOは発行手数料の納付から特許発行まで約4か月を要するとの見通しを伝えている。この報告は、残る事務処理のあり方について疑問を提起するものの、全国的な平均所要期間や、報告された遅延の原因を確定するものではない。

はじめに

米国特許商標庁(USPTO)が、発行手数料の納付から特許発行まで約4か月を見込むよう出願人に案内しているという実務家の報告は、電子特許の時代において、とりわけ懸念を生じさせる。発行に必要な条件を満たした出願について、正式な特許証を交付するまでの間に、印刷、製本、郵送が介在することは、もはやない。残る事務処理に要する期間については、説明が求められる。

2026年10月1日付の報告において、Nath Goldberg & MeyerのJoshua Goldbergは、発行手数料の納付から少なくとも8週間が経過した出願について、同事務所が問い合わせを行った経緯を説明した。同氏によれば、USPTOのApplication Assistance Unit(出願支援部門)は最終的に、納付から発行まで約4か月を要していると同事務所に伝えたが、その見積りの理由は説明しなかった。これは、実名の実務家によるUSPTOとのやり取りの報告であり、独立した検証によって確立された全国平均でも、公表された処理期間の基準でもない。 Joshua B. Goldberg, New Delays in USPTO Patent Granting—A Minor Annoyance? Or Something More Problematic?, Nath Goldberg & Meyer (Oct. 1, 2026), https://nathlaw.com/news/2026/10/01/new-delays-in-uspto-patent-granting-a-minor-annoyance-or-something-more-problematic/.

この報告には、納付から発行まで実際に4か月を要した事例や、発行に必要なすべての条件がいつ満たされたかを確認できる、個別出願の手続履歴は示されていない。したがって、調査とより充実した情報開示を求める根拠にはなるが、発行可能な状態にある出願について、処理の停滞がどの程度広がっているか、あるいはその規模がどれほどかを正確に立証するものではない。

入手できる証拠からは、報告された待機期間の原因は明らかにならない。しかし、発行手続の透明性を高め、業務運営について説明責任を果たす必要性は明らかである。出願人は、自らの出願がどの段階で待機しているのか、どの作業が残っているのか、各段階の改善によって発行までの総所要期間が短縮されているのかを知る必要がある。電子交付になっても、残るすべての作業が瞬時に完了するわけではない。それでも、その成果は、発行手続全体を通じて出願人が経験する所要時間を基準に評価されるべきである。

正式な特許証は現在電子文書である

USPTOは、2023年4月18日に、電子特許証(eGrants)の交付を開始した。正式な特許証は、特許発行日にPatent Centerを通じて取得できる電子文書となった。この移行を発表した際、USPTOは、処理の効率化、印刷・郵送の必要性の低減、手続に要する期間の短縮の可能性を強調した。したがって、電子交付は、紙の使用量の削減にとどまらない利点を有する業務改善として示されていた。 U.S. Patent & Trademark Off., USPTO Ushers in New Era With Introduction of Electronic Patent Grants (Feb. 27, 2023), https://www.uspto.gov/about-us/news-updates/uspto-ushers-new-era-introduction-electronic-patent-grants.

正式な特許証と紙の写しを区別することは重要である。USPTOは当初、制度移行を支援するため、記念用の写しを自動的に郵送する運用を継続していた。2026年3月9日以降に発行手数料を納付する出願人は、この無償の写しを受け取るために、その旨を選択しなければならない。USPTOは、この変更により、印刷・郵送費が年間約250万ドル削減されると見込んだ。記念用の写しは、この手続を通じて引き続き入手でき、その他の紙の写しも注文できる。法律上の正式な特許証であるのは、引き続き電子文書である。 U.S. Patent & Trademark Off., Opt-in Option for Courtesy Ceremonial Copies of eGrants (Feb. 6, 2026), https://www.uspto.gov/subscription-center/2026/opt-option-courtesy-ceremonial-copies-egrants.

USPTOは、記念用の写しの送付スケジュールと、法律上の特許発行のスケジュールを明示的に区別している。2025年10月16日、USPTOは、無償の記念用の写しの送付が最大90日遅れると発表した。同じ通知は、この遅延が電子特許証の適時の発行に影響しないことを明言していた。 U.S. Patent & Trademark Off., Courtesy Ceremonial Patent Copies: Delayed Delivery (Oct. 16, 2025), https://content.govdelivery.com/accounts/USPTO/bulletins/3f75a93.

したがって、記念用の写しを待っている出願人は、すでに発行済みの特許を保有している可能性がある。これに対し、電子特許証の発行を待っている出願人の立場は、実質的に異なる。ここで問題となるのは、特許発行前の期間である。記念用の写しの作成待ちが生じているというだけでは、必要な手続を完了した出願について、なぜ特許がまだ発行されていないのかを説明できない。共通の作成工程への依存が遅延の一因であるならば、USPTOはその工程を特定し、なぜ依然として必要なのかを説明すべきである。

納付から発行までの全期間を把握することが重要である

USPTOは、2025年4月に別の改善を発表した。2025年5月13日から、Issue Notification(発行通知)から特許発行日までの期間を、約3週間から約2週間に短縮したのである。この発表は、その変更を、電子形式での公表と重複する処理工程の削減によるものと説明していた。 U.S. Patent & Trademark Off., USPTO Modernization Efforts Successfully Expedite Patent Issuance (Apr. 15, 2025), https://www.uspto.gov/about-us/news-updates/uspto-modernization-efforts-successfully-expedite-patent-issuance.

この改善が対象としたのは、手続のうち限定された区間である。発行手数料を納付してから2週間で特許が発行されると約束したものではない。発行通知が作成されるまでに、出願が長期間処理待ちとなっていても、その後の通知から発行までの最終区間は、比較的短期間で進むことがあり得る。

USPTOは、発行手数料の納付から特許発行までの全期間を測定するとともに、発行に必要な未充足の条件がすべて満たされた時点から始まる期間を、別途明らかにすべきである。また、発行通知前の期間を含め、各段階の所要期間も開示すべきである。これらの指標によって、出願人の総待機期間と、発行可能な状態にある出願の処理にかかる期間を区別しつつ、最終段階の改善が全体の待機期間を短縮しているかどうかを示すことができる。

残る事務処理についてより明確な説明が必要である

MPEP § 1309は、特許査定後の処理を複数の段階に分けて説明している。Notice of Allowance(特許査定通知)が郵送された後、最初のデータ取込みが始まる。その後、査定後に提出された書類、手数料、図面が出願記録に反映されていることを確認するため、記録の整備が行われる。発行手数料が納付され、その他の発行条件もすべて満たされると、出願は最終データ取込みの段階に進み、発行に向けて電子記録が更新される。 U.S. Patent & Trademark Off., Manual of Patent Examining Procedure § 1309 (9th ed., rev. 01.2024) [hereinafter MPEP].

これらの作業には正当な目的がある。特許証は、認められた変更を含め、出願の最終状態を正確に反映しなければならない。電子交付は正式な文書を郵送する必要をなくすが、その文書を正確に作成する必要までなくすわけではない。業務運営上の問題は、1件の出願の実際の処理にどれだけの時間を要し、処理が始まるまでの待機にどれだけの時間が費やされているかである。

関連する別の工程については、業務資源が逼迫していたことを示す公式な情報がある。2026年5月27日、USPTOは、出願件数の増加と庁内の他の優先業務によって、特許査定通知の処理に従事する職員の配置が圧迫されていたと報告した。作業時間の調査と業務手順の変更により、1件当たりの平均NOA処理時間は25分から6分へ短縮された。週当たりの処理件数は約6,000~7,000件から約15,000件へ増加し、発送待ちの滞留はほぼ解消された。 U.S. Patent & Trademark Off., USPTO Achieves Significant Progress in Reducing Patent Application Notice of Allowance Mailing Pendency (May 27, 2026), https://www.uspto.gov/subscription-center/2026/uspto-achieves-significant-progress-reducing-patent-application-notice.

この事例は、実際の処理時間と、待機によって経過する時間を区別する重要性を示している。ただし、対象は発行手数料の納付前に行われる特許査定通知の処理であり、最終的な特許証の作成にどれだけの時間を要すべきかを示すものではない。NOA処理の迅速化によって、後続の段階に進む案件数が増える可能性はあるが、その影響は依然として推測にとどまる。この発表も実務家の報告も、納付から発行までの待機期間が生じている原因を説明してはいない。

入手できる証拠は、処理能力と業務手順に対象を絞った検討を行う根拠となる。しかし、報告された遅延のうち、職員の減少、委託業者、特定のソフトウェアシステムがそれぞれどれだけを占めるかを正確に特定する根拠にはならない。影響を受けている処理待ちの箇所を特定し、制約が一時的なものか、繰り返し生じるものか、特定の出願に限られるものかを説明するのに最も適しているのは、USPTO自身である。

特許発行前から商業上の影響が生じる

特許査定や発行手数料の納付によって、発行済み特許に通常伴う権利行使の権能が生じるわけではない。特許の存続期間は発行日に始まるが、現行制度の実用特許(utility patent)または植物特許の通常の満了日は、法律で定められた先の出願を考慮した、基準となる出願日から原則として20年後となる。存続期間の調整やその他の規定の適用を前提として、発行の遅れは、権利行使が可能な保護期間の残りを減少させることがある。出願人は、査定を受けた出願を、通常の特許侵害訴訟の対象となる発行済み特許として扱うことはできない。 35 U.S.C. §§ 154(a)(2), 271(a), 281; MPEP § 2701.

実際の影響は、事業の状況によって異なる。製品の市場投入時に競合製品の販売に直面する企業にとっては、その市場投入が進行している間に特許を取得することに、大きな価値がある場合がある。ライセンス契約では特許発行を支払条件とすることがあり、資金調達の条件として、一定の日までに特許が発行されていることが求められる場合もある。当事者が条件を再交渉できる場合であっても、発行時期の不確実性は価格や交渉上の立場に影響し得る。これらは発行遅延によって予見される商業上の影響であるが、その重要性は個々の取引に即して評価しなければならない。

仮の権利(provisional rights)による対応には限界がある。§ 154(d)は、出願公開後から特許発行前までの期間に行われた一定の行為について、合理的な実施料を請求することを認めている。ただし、公開された出願について相手方が現実の通知を受けていること、および公開出願と発行済み特許の請求項に係る発明が実質的に同一であることなど、法定の条件を満たす必要がある。この請求権は、最終的に特許が発行されることを前提とする。出願が係属している間に、特許に基づく差止めを現時点で求める権利を出願人に与えるものではない。 35 U.S.C. § 154(d)(1)–(2).

後日実施料を請求するための法的手段があっても、最も重要な市場機会が存在する期間に、競合者の行為に対処できるとは限らない。また、特許発行を明示的な条件とする取引の問題を解決するものでもない。したがって、迅速な特許発行の商業上の価値は、特許の存続期間の末尾に同じ日数を追加することの価値を上回り得る。

特許存続期間の調整による救済は限定的である

米国議会は、35 U.S.C. § 154(b)(1)(A)(iv)において、特許発行の遅延を明示的に取り扱っている。対象となる特許について、発行手数料が納付され、未充足の条件がすべて満たされた後、4か月以内に特許が発行されなければ、特許存続期間の調整(patent term adjustment、PTA)の根拠が生じる。37 C.F.R. § 1.703(a)(6)によれば、対象となる期間は、この4か月の期間が満了した日の翌日から始まり、特許発行日に終了する。 35 U.S.C. § 154(b)(1)(A)(iv); 37 C.F.R. § 1.703(a)(6); MPEP § 2731(I)(F).

起算点の条件は重要である。他の発行条件が満たされていない場合、手数料の納付だけで、この期間の計算が始まるわけではない。MPEP § 2731は、納付日と未充足の条件がすべて満たされた日のうち、遅い方の日を用い、審査の再開が起算日に及ぼす影響も説明している。遅延した出願を検討する代理人は、その出願が実際にいつ発行可能な状態になったかを確認しなければならない。 MPEP § 2731(I)(F).

この発行遅延に係る調整項目は、手数料の納付と未充足の条件の充足後、最初の4か月間を補償するものではない。その他の適用要件を満たす特許が、該当する4か月の期間が満了した日から20日後に発行された場合、この項目による調整は、適用される制限を考慮する前の段階で20日となる。4か月と20日からなる待機期間全体が調整されるわけではない。 35 U.S.C. § 154(b)(1)(A)(iv); 37 C.F.R. § 1.703(a)(6); MPEP § 2731(I)(F).

審査経過によっては、3年を超える係属期間に関する規定を含め、別の調整根拠が、最初の4か月間の一部に適用される場合がある。したがって、4か月という基準は、この発行遅延に係る特定の調整項目の範囲を定めるものであり、特許の調整日数全体を決定するものではない。 35 U.S.C. § 154(b)(1)(B); MPEP § 2731(II).

最終的な調整日数は、その他の審査経過にも左右される。USPTOによる遅延の期間が重複しても、同じ期間を二重に計上することはできず、出願人に起因する遅延によって調整日数が減少する場合がある。また、PTAによって、適用されるターミナルディスクレーマー(存続期間末尾の放棄)に定められた満了日を超えて特許を延長することはできない。そのため、追加される存続期間は、発行遅延の長さだけから出願人が期待する利益をもたらさない場合がある。 35 U.S.C. § 154(b)(2); 37 C.F.R. §§ 1.703(f)–(g), 1.704; MPEP § 2731(VI).

意匠特許については、別の制約がある。存続期間は特許発行から起算され、この制度による特許存続期間の調整は適用されない。発行の遅延によって、法律で定められた存続期間が同じように短縮されるわけではないが、商業上重要な時期に保護を受けられるようになる時点が先送りされることはある。 35 U.S.C. § 173; MPEP §§ 2701, 2710.

法定の補償を開始する基準と、行政上の適切な処理期間目標は、それぞれ異なる問題に答えるものである。議会が、4か月を超える一定の遅延について調整を認めたことは、発行可能な出願の処理に合理的に必要な時間が4か月であることを示すものではない。§ 154(b)(1)(A)(iv)自体が、それより短い処理期間目標を定めているわけでもない。そのような政策上の判断は、残る作業と処理能力についての証拠に基づいて行われるべきである。調整が認められる場合でも、それは将来の満了日を延ばすものであり、すでに失われた商業上の機会を回復することはできない。

出願人には発行待ちの状況を把握できる情報が必要である

実効性のある透明性を確保する第一歩は、納付から発行までの期間と、発行条件がすべて満たされた後の期間の両方について、毎月報告することである。USPTOは、対象となる出願の定義を明確にしたうえで、中央値と、第90百分位数など長期の待機を示す指標を公表すべきである。これらの指標により、納付後のすべての日数を発行可能な出願の処理に要する時間とみなすことなく、出願人がどれだけ待っているかを示すことができる。

データは、出願人の対応待ちの案件と、発行可能な状態の案件を区別すべきである。また、必要な手続を完了した出願が、各事務処理段階でどれだけ待っているか、およびその待機案件数が増えているかを示す必要がある。これにより、USPTOの業務実績を公正に評価するとともに、出願人が自らの案件で是正可能な問題を見つけられるようになる。

処理期間の目標と、どの時点で上位の担当者や部門に問題を付託するかを明確にすれば、こうした情報に実務上の価値を持たせることができる。出願人は、未完了の作業と担当部門を特定した状況説明を受けられるべきである。遅延が目標期間を超えた場合、問い合わせを契機として、処理待ちの列における出願の位置と、未解決の条件について確認が行われるべきである。この確認は、通常の処理を後回しにしなくても有益であり、見落とされた提出書類や、手続が進まなくなった出願を発見できる。

USPTOは、特許査定から発行までの手続全体を通じて、業務資源がどのように配分されているかも説明すべきである。ある段階の処理件数が増えても、その増加による作業を後続の段階が受け止められる場合に初めて、発行の迅速化につながる。こうした段階間の関係を報告すれば、見かけ上の改善が総待機期間を短縮したのか、それとも待機する箇所を移しただけなのかを判断する助けとなる。

電子特許証は、USPTOによる特許交付のあり方を大きく改善した。報告された約4か月という見積りは、残る手続について、より明確な情報を提供することの価値を一層高めている。出願人は、自らの出願が発行可能な状態にあるかどうか、そうであれば、なぜ依然として係属しているのかを確認できるべきである。USPTOが記念用の写しの送付と電子特許証の発行を明示的に区別していることは、法律上の特許発行に先立つ作業に注目すべきことを示している。近代化の成果は、発行可能な出願がどれだけ確実に発行済み特許となるか、そして想定以上の時間がかかる場合に速やかな説明がなされるかによって評価されるべきである。

 
 
著者について

Brandon R. Theiss

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画像サイズ変更プロジェクト - 2026年7月22日

Brandon R. Theissは、AddyHartのDivergent IP部門に所属する、テクノロジー分野を中心に扱う米国登録特許弁護士です。ソフトウェア、クラウドコンピューティング、データ分析、医療機器、自動化システム、自動車システムなどの技術について、米国特許出願・権利化、特許付与後手続、特許適格性、特許戦略に関する助言を提供しています。Villanova University Charles Widger School of Lawの非常勤教授を務めるほか、FDA and Intellectual Property Strategies for Medical Device Technologiesの共著者でもあります。

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