top of page

Divergent Patent Lawブログ

米国特許出願・権利化、PTAB実務、米国連邦巡回区控訴裁判所の動向、および国境を越えた特許戦略に関する解説。

USPTOにおけるDocuSignの利用特許出願人および実務家のための実務ガイド

執筆者の写真: Brandon Theiss
Brandon Theiss
10月5日
読了時間: 21分

要旨:米国特許商標庁(USPTO)は、発明者宣言書、委任状、出願手続に関する書類、証拠として提出する宣言書など、幅広い特許関係書類について、DocuSign、Acrobat Signその他の要件を満たす同種のプラットフォームの利用を認めている。37 C.F.R. § 1.4(d)(4)に基づき、署名手続は、USPTOのソフトウェアおよび署名に関する要件を満たし、認証データを保存し、適切な署名者本人による署名を確保する必要がある。実務家は、必要な署名者の識別情報を確認し、署名済み文書の全体および裏付け記録を保管するとともに、実質的な修正を行った場合には改めて署名を得るべきである。各文書には、それぞれの実体的要件も引き続き適用される。規則第131条の宣言書は主としてAIA改正前の実務に関わり、適切な宣言者と関連する過去の事実を立証する証拠を必要とする。一方、規則第132条に基づく特許適格性宣言書には、十分な事実的基礎、請求された発明との関連性、および適時の提出が求められる。電子署名による作成は、出願当初に必要であった開示を補充するものでも、技術的供述の説得力を立証するものでもない。特許譲渡については、その基礎となる権利移転の法的効力を別途検討する必要があり、商標書類には、これとは異なる、より限定的な手続が適用される。したがって、効果的な業務手順では、要件を満たすソフトウェア、適切な署名権限、文書ごとの要件、およびUSPTOへの適時の提出を相互に整合させる必要がある。

はじめに

特許に関する宣言書を作成する発明者、特許代理人を選任する企業、および技術的な宣言書に署名する専門家は、通常、DocuSign、Acrobat Signその他の要件を満たす文書署名プラットフォームを通じて各文書に署名できる。USPTOは、2024年3月22日を施行日として、特許関係書類の署名に関する規則の適用範囲を明示的に拡大した。この制度により、通常の特許関係の提出書類全般について商用の電子署名を利用できるようになったが、文書自体および署名者に適用される要件は維持されている。Signature Requirements Related to Acceptance of Electronic Signatures for Patent Correspondence, 89 Fed. Reg. 20,321, 20,321–22 (Mar. 22, 2024)参照。

実務上は、ソフトウェアおよび署名欄がUSPTOの要件を満たしているか、その個人が当該文書に署名する権限を有しているか、必要な記載が文書に含まれているかを、それぞれ確認する必要がある。宣言書では、署名者が発明者性、事実、または技術的証拠について実質的な陳述を行うため、特に注意が必要である。以下では、発明者宣言書、先発明に関する規則第131条の宣言書、および規則第132条に基づく特許適格性宣言書(Subject Matter Eligibility Declaration、SMED)を具体的に取り上げる。本稿は、米国国内の特許実務およびUSPTOの特許手続を対象とし、商標書類に適用される、より限定的な手続についても別途説明する。

I 商用電子署名の利用を認める規則

§ 1.4(d)(4)は、特許出願、特許、またはその他のUSPTO特許手続において署名を要する書類について、記名された署名者本人が長官の定める形式で入力する電子署名を認めている。2024年の最終規則およびこれに伴う覚書は、DocuSignやAcrobat Signを含む、要件を満たす第三者提供の文書署名ソフトウェアを、利用可能な署名方法として挙げている。同規則は、その他のプラットフォームも満たすことのできる基準を定めている。37 C.F.R. § 1.4(d)(4)およびUSPTO, Electronic Signatures 37 CFR 1.4(d)(4) (Mar. 22, 2024)参照。

署名と提出は、引き続き別個の行為である。電子署名を付した文書は、特許電子出願システム、または当該文書について認められたその他の方法により提出できる。電子署名サービス上で一連の署名処理を完了しただけでは、文書が提出されたことにも、USPTOの受領日が確定したことにもならない。最終規則は、従前の指針が新たな要件と抵触する場合、USPTO職員に新たな要件に従うよう指示している。したがって、旧様式や従前の説明を検討する実務家は、現行規則と併せて読む必要がある。89 Fed. Reg. at 20,321–22参照。

II プラットフォームおよび署名手続の要件

USPTOの基準は、基盤となるソフトウェアと、文書上に表示される署名の双方を対象とする。ソフトウェアは電子署名の生成を目的として設計され、デジタル証明書、トークン、または監査証跡を通じて、署名データを後日の確認に備えて保存するものでなければならない。署名ページまたは電子提出フォームには、文書署名ソフトウェアを使用した旨を表示する必要がある。通常の画像編集ソフトウェアで挿入した署名画像だけでは、この方法の要件を満たすことにはならない。USPTO, Electronic Signatures 37 CFR 1.4(d)(4), at 1 (Mar. 22, 2024)参照。

署名者の氏名は、その個人を識別できる程度に具体的な形で、活字体またはタイプ文字により表示する必要がある。表示位置は、署名の直下または近接する位置が望ましい。§ 1.33(b)(1)または(2)に基づいて署名する特許実務家は、登録番号を署名の一部として、またはその直下もしくは近接する位置に記載しなければならない。意匠特許実務家は、さらに署名に近接する位置に「design」という語を記載する必要がある。したがって、プラットフォームの既定の署名欄が、必要な識別情報を備えているか確認すべきである。37 C.F.R. § 1.4(d)(4)(i)–(ii)参照。

署名者として記名された本人に、確認のため文書の最終版全体を提供する。署名操作は、その本人が自ら行わなければならない。代理人や事務職員は、文書の準備や署名依頼の送付を行うことができるが、ソフトウェアを使って他人の署名を生成することはできない。他人の署名済み文書を提出する者には、その本人が実際に署名したと信じる合理的な根拠が必要である。USPTOが署名の真正性について合理的な疑義を持つ場合には、追認、確認、または裏付け証拠を求めることがある。37 C.F.R. § 1.4(d)(4)–(5), (h)参照。

通常、すべての特許関係書類の提出に、別個の完了証明書を添付する必要はない。ただし、署名ページまたは電子提出フォームには、ソフトウェアを使用した旨の所定の表示が必要である。事務所の運用としては、署名済み文書の全体、そこに特定された添付資料、および対応する完了証明書または監査記録を一緒に保管するとよい。これにより、実際に署名された版と、真正性の証拠を保存できる。署名後に本文の実質的な内容を変更した場合には、署名者に修正版を確認してもらい、改めて署名を得る必要がある。以前の署名は、後から追加された内容を署名者が承認したことを示さない。89 Fed. Reg. at 20,321–22および37 C.F.R. § 1.4(d)(5)(ii), (h)参照。

III 署名権限

署名者に必要な権限は文書によって異なる。委任状に署名できる企業の代表者が、そのことだけで当該企業の特許出願手続を遂行する権限を得るわけではない。逆に、実務家が通常有する出願手続上の代理権限によって、企業による代理人選任の書類への署名まで当然に認められるわけでもない。法人出願人について、MPEP § 402.02(a)は、法人を代表して行為する権限を要求し、USPTOにおいて業務を行う資格だけでは、その法人の委任状に署名するには足りないと説明している。37 C.F.R. §§ 1.32(b)(4)、1.33(b)およびMPEP § 402.02(a)参照。

その他の文書には、それぞれ異なる規則が適用される。§ 3.73(c)に基づく権利保有に関する陳述書には、記録上の特許実務家、または譲受人を代表して行為する権限を有する他の者が署名できる。マイクロエンティティ証明は、§ 1.29(e)および§ 1.33(b)が認める署名者の規定に従う。§ 1.321に基づく権利放棄書には、適切な出願人もしくは特許権者、または記録上の弁護士もしくは特許代理人による署名が必要である。実務家は、代理人として行為する一般的な権限が、あらゆる文書への署名に十分であると考えるべきではない。37 C.F.R. §§ 3.73(d)、1.29(e)および1.321(a)(1), (b)(1)参照。

IV 規則の対象となる特許関係書類

この許容規定は、署名を伴う特許関係の提出書類全般に適用される。一般的な書類について整理すると、次の表のとおりとなる。第III節では署名権限に関する主な区別を説明したが、個々の出願人、権利者、および手続について、適用規則を確認する必要がある。

文書

署名者

確認事項

発明者宣言書

宣言書の提出を求められる発明者

必要な陳述および出願内容の本人による確認

代替陳述書

適切な署名者を通じて行為する、資格を有する出願人

§ 1.64に基づく事情および権限

委任状または委任の取消書

出願人または特許権者。該当する場合は権限を有する者を通じて行為する

代理人の選任または代理権の取消しに関する権限

§ 3.73(c)に基づく譲受人の陳述書

譲受人を代表して行為する権限を有する者

権利保有の証拠および署名者の権限

出願データシートおよび出願手続書類

§ 1.33(b)が認める特許実務家またはその他の署名者

代理権の状況および文書固有の規則

マイクロエンティティ証明

§ 1.29(e)が認める者

資格要件および証明の根拠

ターミナルディスクレーマーまたは法定の権利放棄書

適切な出願人もしくは特許権者、または記録上の弁護士もしくは特許代理人

当該権利放棄の内容および必要な権利保有の陳述

専門家宣言書または事実に関する宣言書

供述を行う個人

最終的な本文、真実性の確認文言、および必要な日付

規則第131条(a)の宣言書

§ 1.131およびMPEP § 715.04に基づく適切な宣言者

規則第131条の利用可能性、過去の事実、および裏付け資料

特許適格性宣言書(SMED)

証拠を提供する発明者、専門家、またはその他の者

規則第132条の形式要件、事実的基礎、および請求項との関連性

 

出願手続書類には、オフィスアクションに対する応答、補正書、情報開示陳述書(IDS)、継続審査請求(RCE)、申立書、および署名を伴う出願送付書が含まれる。非公開請求その他の証明にも、それぞれ固有の実体的要件が引き続き適用される。署名資格については、37 C.F.R. §§ 1.29(e)、1.32(b)、1.33(b)、1.321および3.73(c)を参照されたい。第VI節で別途説明する譲渡については、その基礎となる権利移転に適用される法も関わる。

V 発明者宣言書および立証用宣言書への署名

発明者宣言書

§ 1.63は、適用可能な例外または有効な代替陳述書がある場合を除き、原則として各発明者の宣誓書または宣言書を要求する。対象となる各発明者が、自らの文書に署名する。37 C.F.R. § 1.63(a)参照。

宣言書は、署名する発明者と出願を特定し、発明者性および出願の許諾に関する所定の陳述を含み、故意の虚偽陳述に関する所定の認識を示す文言を備えていなければならない。一部の識別情報は、代わりに出願データシートに記載できる。これとは別に、§ 1.63(c)は、署名者が請求項を含む出願内容を確認して理解し、情報開示義務を認識していることを要求する。現行の宣言書にこれらの事項を明示的に記載する必要がない場合でも、署名の前提条件であることに変わりはない。署名を依頼する際には、宣言書で特定される出願を発明者が確認できるようにすべきである。37 C.F.R. § 1.63(a)–(c), (g)およびMPEP § 602.01(a)参照。

所定の認識を示す文言を含む宣言書は、公証を受けずに作成できる。したがって、国外にいる発明者も、その所在だけを理由に公証人の認証を受ける必要はなく、適切な電子署名手続を本人が完了できる。ただし、宣言書は、適用されるUSPTOの要件を満たさなければならない。実際の宣誓を伴う宣誓書を用いる場合には、宣誓の実施に関する別個の要件が引き続き適用される。通常の文書署名ソフトウェアが、それ自体で宣誓を実施するわけではない。37 C.F.R. §§ 1.63(g)および1.66参照。

複数の発明者および継続出願

発明者が複数いる場合、署名プラットフォームを使って共通の文書を各署名者に回付することも、代理人が発明者ごとに個別の宣言書を用意することもできる。発明者の署名時期が異なるときには、個別の様式を用いることで事務処理を簡素化できる。完成した記録から、各宣言書に署名した発明者と、その宣言書が対象とする出願が明確に分かるようにすべきである。要件を満たす出願データシートに§ 1.63(b)所定の情報が記載されている場合、個別の宣言書では、その宣言書に署名する発明者のみを特定できる。そうでない場合、各個別の宣言書に、全発明者に関する所定の情報を含める必要がある。37 C.F.R. § 1.63(b)参照。

継続出願で常に新たに署名した宣言書が必要になるわけではない。§ 1.63(d)は、必要な写しの提出などの条件を満たす場合、要件を満たす従前の宣言書または代替陳述書への依拠を認めている。新たに追加された共同発明者は、所定の宣言書を提出するか、適用される代替陳述書の手続によって対応する必要がある。したがって、新たな署名を求めるかどうかは、まず継続出願に関する要件と既存の記録を確認して判断すべきである。37 C.F.R. § 1.63(d)参照。

代替陳述書

§ 1.64は、発明者が死亡している、法的な行為能力を欠く、宣言書への署名を拒否する、または相当の努力を尽くしても所在を確認できず、もしくは連絡を取れない場合について、別個の手続を定めている。資格を有する出願人は、その事情および署名者と発明者との関係を示す代替陳述書を作成できる。この陳述書にも、所定の実質的情報と虚偽陳述に関する認識を示す文言が必要である。署名する者は、同規則の定める出願内容の確認および情報開示義務の認識に関する前提条件を満たさなければならない。37 C.F.R. § 1.64参照。

代替陳述書の署名者は、自己に認められた資格に基づいて行為する。したがって、法人の代表者は、代表者本人の名義で陳述書に署名する。電子署名の依頼に返答がないという事実だけで、署名拒否や相当の努力が認められると扱うべきではない。選択した根拠を、実際の事情が裏付けている必要がある。法人出願人について、通常の出願手続用の委任状だけでは、実務家が法人のために代替陳述書に署名する権限を与えられたことにはならない。MPEP § 604参照。

証拠として提出する宣言書の真実性の確認

規則第131条の宣言書、およびSMEDを含む§ 1.132の宣言書は、第II節で説明した署名の枠組みに従って証拠を提出するものである。その証拠価値は、供述内容とその基礎に左右される。§ 1.68に基づく宣言書には、所定の真実性に関する陳述および故意の虚偽陳述に関する警告を含めなければならないが、公証は不要である。PTABの審理手続では、§ 42.2により、§ 1.68に基づく宣言書と28 U.S.C. § 1746に基づく宣言書が、許容される宣誓供述書の形式として認められている。37 C.F.R. §§ 1.68、1.131、1.132および42.2参照。

先発明に関する規則第131条の宣言書

§ 1.131(a)に基づく宣言書は、拒絶の根拠となった引用文献または行為の基準日よりも前に発明がなされたことを立証するために利用できる。署名を得る前に、この手続を利用できるか検討する必要がある。この手続は主としてAIA改正前の実務に関わり、出願の経過と拒絶の法的根拠が判断を左右する。AIAの先発明者先願主義の規定が適用される出願では、§ 1.131(e)により、適用可能なAIA改正前の§ 102(g)に基づく拒絶に対してのみ、限定的に利用できる。より早い発明日を示しても、通常、AIAの下での先行技術を排除することはできない。また、規則第131条(a)によって、法定の特許付与の障害(statutory bar)や、インターフェアレンスの対象となる主題を請求する所定の引用文献に基づく拒絶を解消することもできない。37 C.F.R. § 1.131(a), (d)–(e)およびMPEP § 715参照。

適切な宣言者は、出願と拒絶対象の主題によって異なる。MPEP § 715.04は、当該主題を発明した発明者の全体、所定の資格を有する出願人またはその他の認められた者、および再審査中の特許の権利者を認めている。発明者の宣言書に依拠する場合、宣言を行う発明者のみが拒絶対象の主題を発明したことを所定の方法で示せば、出願に記載された全発明者の宣言書を要しないことがある。代理人は、文書を回付する前に、該当する資格区分とそれを裏付ける事情を特定すべきである。MPEP § 715.04参照。

証拠によって、引用文献の基準日前に実施化(reduction to practice)がなされたこと、または同日前の着想に加えて、同日前からその後の実施化もしくは出願に至るまで所要の勤勉性(diligence)があったことを立証する必要がある。関連する図面または記録は、原本または写しを宣言書に添付してその一部としなければならず、添付しない場合には、その理由を十分に説明する必要がある。立証内容を評価できるよう、行為、日付、および裏付け資料を具体的に示すべきである。プラットフォームの署名時のタイムスタンプは、宣言書に署名した時点を記録するものであり、着想、勤勉な活動、または実施化がいつ生じたかを立証するものではない。37 C.F.R. § 1.131(b)およびMPEP §§ 715.07–715.07(a)参照。

規則第131条には、§ 1.131(c)に定める、共通所有に関する別個の手続もある。同項が指定するAIA改正前の自明性拒絶の場面では、現在の共通所有と先発明者であることを述べる宣言書を、要件を満たすターミナルディスクレーマーと併せて用いる。MPEP § 718は、発明者、記録上の弁護士もしくは特許代理人、または権利の全部を有する譲受人による署名を認めている。添付するターミナルディスクレーマーは、それ自体の署名要件および実体的要件を別途満たす必要がある。したがって、代理人は署名用書類を準備する際に、§ 1.131(a)による先発明の立証と、§ 1.131(c)による提出を区別すべきである。37 C.F.R. § 1.131(c)およびMPEP § 718参照。

規則第132条に基づく特許適格性宣言書

特許適格性宣言書、すなわちSMEDは、35 U.S.C. § 101に基づく特許適格性を裏付けるため、§ 1.132に基づいて任意に提出する証拠用の宣言書である。その目的は、特許適格性の判断に関わる事実上の記録を充実させることにある。37 C.F.R. § 1.132およびUSPTO, Subject Matter Eligibility Declarations (Dec. 4, 2025)参照。

主張する事実を知る発明者、同僚、独立した専門家、その他の者が証拠を提供でき、独立した専門家は必須ではない。作成実務として、宣言者の関連する経験、検討した資料、各事実の主張の根拠、および出願人との関係を明示するとよい。発明者が出願について利害関係を持つことだけで宣言書が排除されるわけではないが、利害関係のない者の証拠の方が説得力を持つ場合がある。USPTO, Subject Matter Eligibility Declarations, at 2 (Dec. 4, 2025)、MPEP § 716.01(c)およびUSPTO, SMED Flowchart for Analysis and Best Practices, at 3–4 (Sept. 29, 2026)参照。

有用なSMEDは、具体的な請求項の限定と客観的事実を結び付ける。例えば、出願時の明細書から当業者が何を理解するか、請求された動作が技術をどのように改善するか、またはある動作を人の頭の中で実際に行うことができない理由などを説明する。宣言書は、出願時に存在した事実を説明できるが、出願当初の開示に含まれている必要があった情報を後から補うことはできない。出願時の開示から当業者に改善が明らかであり、請求項がそれを反映している場合、改善であることを明示的に記載していなかったとしてもよい。請求項に法的な特許適格性があると述べるだけの意見は、法的結論として証拠上の重みを持たない。重要なのは、その意見を裏付ける事実である。USPTO, Subject Matter Eligibility Declarations, at 3 (Dec. 4, 2025)およびUSPTO, SMED Flowchart for Analysis and Best Practices, at 4 (Sept. 29, 2026)参照。

USPTOの2026年9月29日付覚書は、2026年4月30日付の実務家向け指針を補足し、2025年12月4日付の審査官向け覚書を引き続き維持している。そこでは、扱う特許適格性の具体的な論点を特定することや、有用な場合にSMEDを別個に提出することなどが推奨されている。複数の法定要件に関する拒絶に対応する単一の規則第132条の宣言書を提出することも、引き続き認められる。Patent Centerを通じてSMEDを別個に提出する場合、推奨される文書コードは「AF/D.SMED」、文書名称は「Subject Matter Eligibility Declaration」である。USPTO, SMED Flowchart for Analysis and Best Practices, at 2–4 (Sept. 29, 2026)参照。

適時の提出も引き続き重要である。9月の指針は、場合によっては最初の実体的なオフィスアクション前を含め、早期の提出を推奨している。最終拒絶後、またはその他の理由で審査手続が終結した後は、記録への受け入れに際して、適用される手続上の条件を満たす必要がある。適時に提出され、形式要件を満たすSMEDは、その内容について検討されなければならないが、提出によって§ 101に基づく拒絶の撤回が保証されるわけではない。審査官は、記録中の証拠を評価しなければならない。MPEP § 716.01、USPTO, Subject Matter Eligibility Declarations, at 3–4 (Dec. 4, 2025)およびUSPTO, SMED Flowchart for Analysis and Best Practices, at 3 (Sept. 29, 2026)参照。

宣言書の日付

日付については、文書ごとに注意する必要がある。USPTOの特許署名に関する一般的な指針は日付の記載を推奨するが、通常の発明者宣言書は、日付を欠くことだけで無効になるわけではない。他方、§ 1746に基づく宣言書には日付が必要である。同条はまた、米国内で作成する場合と米国外で作成する場合とで異なる文言を定めている。プラットフォームのタイムスタンプは有用な証拠となるが、適用される法令が要求する場合、文書自体に署名日と適切な真実性の確認文言を明記すべきである。MPEP § 602.03および28 U.S.C. § 1746参照。

VI 特許譲渡および宣言書を兼ねる譲渡書

特許譲渡書は、電子署名により作成して記録のために提出できるが、その法的効力は別途検討する必要がある。§ 261は、特許に関する権利の譲渡について書面による証書を要求する。州際通商または外国通商に関わる、あるいはこれらに影響する取引について、E-SIGN法は、電子的な形式であることのみを理由として電子署名や契約の法的効力を否定することを原則として禁じている。同法は実体法上の要件を維持しており、書面要件が適用される場合には、これを満たす電子記録が保存可能で、正確に再現できることを要求する。35 U.S.C. § 261および15 U.S.C. § 7001(a), (b)(1), (e)参照。

したがって、譲渡書には、有効な権利移転の文言、十分に特定された権利、およびその権利を移転する権限を有する者による署名が引き続き必要である。当事者は、適用される契約法および譲渡に関する法の要件も満たさなければならない。USPTOの2024年の特許署名規則が、それ自体でこれらの問題を解決したり、私人間の契約の執行可能性を確定したりするわけではない。

記録手続について、§ 3.24は、原証書の写しまたは抄本の提出を認めている。§ 3.54は、記録されることによって文書の有効性や権利帰属に対する効果が確定するわけではないと明示している。したがって、署名済みの譲渡書と記録のための提出書類は、相互に関連しながらも異なる目的を持つ記録として扱うべきである。譲受人が係属中の出願で手続上の行為も行おうとする場合には、適用される権利保有および出願人に関する要件を満たす必要がある。37 C.F.R. §§ 3.24、3.54、MPEP §§ 317.03および325参照。

譲渡書が必要な陳述を含み、適用条件を満たす場合には、発明者宣言書としての機能も果たし得る。§ 1.63(e)は、該当する情報および陳述に加え、Part 3に基づく写しの記録を要求し、§ 1.63(g)の署名に関する要件も適用される。これにより、発明者に回付する文書の数を減らせることがある。ただし、通常の譲渡書が発明者を特定している、または発明を譲渡しているというだけで、宣言書になるわけではない。35 U.S.C. § 115(e)および37 C.F.R. § 1.63(e), (g)参照。

VII 不服審判および特許付与後の手続

特許関係の提出書類を広く対象とする規則は、各提出に適用される要件を前提として、査定系不服審判、再審査、および補充審査における署名を伴う書類にも及ぶ。したがって、不服審判の理由書、適切な請求書、申立書、および応答書にも、要件を満たす商用電子署名を利用できる。署名方法によって、その手続で行為できる者や、文書の提出および送達に関する要件が変わるわけではない。37 C.F.R. § 1.4(d)(4)参照。

PTABの審理手続では、§ 42.6(a)(4)が、§§ 1.33および11.18(a)に従った文書への署名を要求している。さらに、§ 11.18(a)は、特許関係の署名について§ 1.4(d)を取り込んでいる。これらの規定を併せて読むと、IPRおよびPGRの申立書、特許権者の提出書類、手続上の申立書、および返答書に、要件を満たす電子署名を利用できる。証人は裏付けとなる宣言書に自ら署名し、代理人は自らが適切な署名者である書類に署名する。許容される宣言書の形式については、§ 42.2が別途定めている。37 C.F.R. §§ 42.6(a)(4)、11.18(a)および42.2参照。

VIII 商標に適用される別個の署名手続

商標実務では、§ 2.193およびTMEP § 611.01(c)(ii)に基づく別個の業務手順が必要である。現行の指針は、宣言または真実性の確認、および住所または代理人の変更フォーム(Change Address or Representation)について、商用の文書署名手続を認めている。これらの手続では、USPTOの要件を満たすために必要な、USPTOが生成したPDF署名ページが提供される。このページには、電子フォーム内で署名ページが生成された時点を示すUSPTOのタイムスタンプを残さなければならない。このタイムスタンプは、その後に本人が署名する日付とは異なる。

ソフトウェアは、署名データを保存し、文書署名ソフトウェアを使用した旨を表示するものであり、電子署名のために設計されていなければならない。署名日は、ソフトウェアが付与するか、署名者が入力する必要がある。署名欄には、署名者の名と姓、および役職または地位を記載しなければならない。その上で、所定の提出手順に従って、USPTOが生成した署名ページを添付する。現行の指針は、この手続を所定の種類の署名に限定している。実務家は、商標関係のすべての提出書類の署名を商用プラットフォームの署名に置き換える一般的な許容規定と理解すべきではない。

同じTMEPの説明は、§ 2.193(e)に基づき署名を要する文書と、出願手続の記録の一部として提出される第三者との合意書とを区別している。引用商標の権利者との同意契約や、個人の氏名を商標として登録することへの同意などの合意書には、これらの署名ページの要件は適用されないとされる。したがって、提出される文書がどのような役割を持つかが重要である。TMEP § 611.01(c)(ii)参照。

IX 実務上の署名および提出の流れ

二人の発明者と法人出願人が記載された米国国内の非仮出願を例に考える。代理人は、出願を特定する§ 1.63の宣言書を各発明者について作成し、追加の発明者情報は、要件を満たす出願データシートに記載する。各発明者には、請求項を含む出願書類と、対応する宣言書を提供する。委任状は、法人出願人を代表して行為する権限を有する者に、別途回付する。発明に関する権利を保有していることだけでは、法人の役員が発明者の宣言書に署名する権限は生じない。

提出前に、代理人は返送された書類一式について、第II節の手続要件、第III節から第IV節の署名資格、および第V節の宣言書の要件を確認する。発明者への署名依頼に返答がない場合には、前述の代替陳述書の検討に従って対応する。書類一式に譲渡書が含まれる場合には、第VI節で説明した権利移転および記録手続について、別途確認を行う。

その後、代理人は適切な文書名称を選択し、適用される提出期限や送達要件に対応した上で、認められたUSPTOの提出手続を通じて書類を提出する。USPTOの受領書を得ることで、提出に関する記録が整う。プラットフォーム上の署名とは別にこの受領記録を管理することにより、USPTOがいつ書類を受領したかを確認できる。

 
 
著者について

Brandon R. Theiss

  • LinkedIn
画像サイズ変更プロジェクト - 2026年7月22日

Brandon R. Theissは、AddyHartのDivergent IP部門に所属する、テクノロジー分野を中心に扱う米国登録特許弁護士です。ソフトウェア、クラウドコンピューティング、データ分析、医療機器、自動化システム、自動車システムなどの技術について、米国特許出願・権利化、特許付与後手続、特許適格性、特許戦略に関する助言を提供しています。Villanova University Charles Widger School of Lawの非常勤教授を務めるほか、FDA and Intellectual Property Strategies for Medical Device Technologiesの共著者でもあります。

購読する

bottom of page