出願人は必ずしも権利者ではない――従業員発明に係る米国特許出願
- Brandon Theiss
- 8月31日
- 読了時間: 37分

要旨:本稿は、従業員発明について、35 U.S.C. § 118およびRule 1.46に基づき雇用主を出願人として記載する方が、従業員発明者を出願人とするよりも、一般に手続の継続性と企業による統制の面で優れる理由を解説する。これは、従業員が後に退職し、連絡不能となり、または協力を拒む場合に特に重要である。雇用主が出願人としての地位を有すれば、会社は、元従業員に依存することなく、審査手続を指揮し、代理人を選任し、法定要件を満たす場合には代替陳述書に署名することができる。しかし、その地位自体は権利を移転するものでも、譲渡の欠缺を治癒するものでもない。したがって、会社は、有効な譲渡を受けてこれを記録し、譲渡義務を示す証拠を保全するとともに、従業員と連絡が取れるうちに、特許案件に特化した退職時レビューを完了すべきである。こうした権利帰属の記録は先行技術の判断にも影響する。35 U.S.C. § 102(b)(2)(C)の例外が適用されるか否かは、誰が出願人として特定されたかではなく、請求項に係る発明の有効出願日までに、関連する発明が同一人に共通して帰属していたか、または同一人に対する譲渡義務の対象であったかによって決まるためである。
I. はじめに
従業員が特許を受け得る発明を生み出した場合、会社とその特許担当弁護士は、一見すると単純な問いに答えなければならない。すなわち、米国特許出願において誰を出願人として特定すべきか、という問いである。従業員が請求項に記載された主題を着想したのであれば、その従業員は発明者として記載されなければならない。しかし、従業員が必ずしも出願人である必要はなく、また、出願人として記載されたからといって、その従業員が必ずしも当該発明の権利者であるとは限らない。
米国発明法(America Invents Act:AIA)は、譲受人、発明者が譲渡義務を負う相手方、および限られた状況において十分な財産的利害を有する者が、出願人として出願することを認めている。35 U.S.C. § 118; 37 C.F.R. § 1.46(a)–(b) (2026). この変更により、雇用主は当初から審査手続を会社の統制下に置くことができるようになった。他方で、この変更は、法的に別個の三つの概念、すなわち発明者性、出願人としての地位および権利帰属が混同される契機ともなり得る。
この区別は重要である。出願人としての地位は、一般に、米国特許商標庁(USPTO)において誰が手続を行うかを決定する。権利帰属は、誰が特許権を保有するかを決定する。発明者性は、請求項に係る発明を着想した自然人を特定する。これらのいずれについても、出願データシートの出願人欄だけを見て安全に判断することはできない。先行技術についても同様である。会社による先の特許出願を35 U.S.C. § 102(b)(2)(C)に基づき先行技術から除外できるか否かは、会社と従業員のいずれが出願人として記載されたかではなく、基準日までに実際に共通の権利帰属が存在したか、または法的強制力のある譲渡義務が存在したかによって決まる。
この区別が最も具体的な問題となるのは、従業員が会社を退職するときである。退職によって発明者性が消滅することも、有効な譲渡が終了することもなく、また、必ずしも審査手続の継続が妨げられるわけでもない。しかし、将来の発明者の協力に依存したまま残されたすべての事項、すなわち、未署名の宣言書、未締結の譲渡書、発明者が付与した委任状、発明者性に変更のある継続出願、後日の訂正、または有効出願日に譲渡義務が存在したことを示す証拠に関する問題が顕在化し得る。
本稿は、AIA施行後の米国非仮出願を対象とする。仮出願、特許協力条約に基づく出願、国内段階出願、意匠特許出願、再発行出願、およびAIA施行前の法律が適用される出願については、追加の論点が生じ得る。
II. 一つの発明、三つの異なる役割
典型的な事例を想定する。Acme社の技術者が、担当する研究プロジェクトの過程で新たな制御システムを開発したとする。翌朝には一般向けの実演が予定されているため、外部の特許担当弁護士は直ちに出願しなければならない。出願には、その技術者および実際に共同発明者であるその他の者を記載しなければならない。担当弁護士は、それとは別に、Acme社と発明者のいずれを出願人として特定すべきか、また、Acme社が既に当該発明の権利を有しているかを判断しなければならない。
これらは、それぞれ別個の三つの検討事項である。
発明者とは、少なくとも一つの請求項の主題を着想した個人である。米国特許法は発明者を「個人」と定義しており、法人を発明者として記載することはできない。35 U.S.C. §§ 100(f), 115(a); Thaler v. Vidal, 43 F.4th 1207, 1211–13 (Fed. Cir. 2022). 従業員は、研究の対価を受けていたこと、会社の設備を使用したこと、または譲渡書に署名したことを理由として、発明者でなくなるものではない。
出願人とは、出願を行い、USPTOにおいて本人として手続を行う者である。原則的な出願人は、発明者または共同発明者全員であるが、法律および規則は、一定の非発明者が出願することを認めている。35 U.S.C. §§ 116, 118; 37 C.F.R. §§ 1.42, 1.45–1.46 (2026). 会社がRule 1.46に基づき適式に出願する場合、「出願人」とは発明者ではなく会社を指す。37 C.F.R. § 1.42(b) (2026).
譲受人とは、譲渡により権利を取得した個人または事業体である。特許を受ける権利は当初発明者に帰属し、通常、他の当事者は有効な権利移転を通じてその権利を取得する。Bd. of Trs. of Leland Stanford Junior Univ. v. Roche Molecular Sys., Inc., 563 U.S. 776, 785–87 (2011); 35 U.S.C. § 261. したがって、発明者が法的強制力のある譲渡義務を負っている場合、会社は法的権原をまだ保有していなくても出願人となり得る。反対に、発明者は、会社に全権益を譲渡した後も出願人のままでいることができる。
役割 | 主たる機能 | 法人となり得るか |
発明者 | 請求項に係る発明を着想した者を特定する | 否 |
出願人 | USPTOにおいて出願を行い、管理する | 可(35 U.S.C. § 118およびRule 1.46に基づく要件を満たす場合) |
譲受人 | 譲渡により移転された権利を保有する | 可 |
この区別から、実務上の原則が導かれる。出願データシートの出願人情報欄への記載は権利移転ではなく、譲渡を記録しても出願人が自動的に変更されるわけではない。MPEP §§ 325, 605.01 (9th ed. Rev. 01.2024, Nov. 2024).
III. 雇用主が出願人として出願できる場合
§ 118およびRule 1.46は、発明者以外の者が出願するための三つの経路を認めている。第一に、発明者から既に発明の譲渡を受けた者は、出願することができる。第二に、発明者が譲渡義務を負う相手方は、出願することができる。第三に、その他の形で十分な財産的利害を立証する者は、追加の申立要件を満たした上で、発明者のためにその代理人として出願することができる。35 U.S.C. § 118; 37 C.F.R. § 1.46(a)–(b) (2026).
第二の類型は、従業員発明にとって特に重要である。雇用契約は、一定の範囲に属する発明を譲渡するよう従業員に義務付ける場合がある。この譲渡義務があれば、当該出願に固有の個別譲渡書がまだ締結されていなくても、雇用主は出願人として出願できることがある。しかし、雇用主が譲渡義務の相手方として出願する適格性を有するからといって、法的権原が既に移転しているとは限らない。Rule 1.46は、譲受人と、発明者が譲渡義務を負う相手方とを意図的に区別している。37 C.F.R. § 1.46(a), (b)(1) (2026).
従業員の退職または協力拒否によって、必ずしも出願が妨げられるわけではない。Acme社が既に当該発明の権利を有しているか、または発明者がAcme社に対する法的強制力のある譲渡義務を負っている場合、Acme社は、出願書類に従業員の署名を得ることなく、Rule 1.46に基づく出願人として出願することができる。発明者の宣言書が欠けていても、実用特許出願が出願日を得ることは妨げられない。要件を満たす出願データシートを提出し、所定の追加料金を支払えば、宣言書または認められた代替陳述書の提出を、当該出願がその他の点で許可可能な状態となるまで延期することができる。ただし、いかなる場合も、特許発行手数料の支払時までに提出しなければならない。35 U.S.C. §§ 111(a)(3), 115(f), 118; 37 C.F.R. §§ 1.16(f), 1.53(f)(3), 1.64 (2026); MPEP § 601.01(a).
この柔軟性は、権利帰属の確認・整備を先送りする理由にはならない。譲渡義務に基づく出願は、審査手続を進めるための経路を確保するが、未履行の譲渡約束を法的権原に転化させるものではない。従業員と引き続き連絡が取れるのであれば、会社は通常、協力を得ることが日常的な手続で済むうちに、当該出願に固有の譲渡書および宣言書を取得すべきである。
35 U.S.C. § 111に基づき提出される出願では、非発明者である出願人を出願データシートの出願人情報欄に記載しなければならない。37 C.F.R. § 1.46(b) (2026). 出願書類に会社がRule 1.46に基づく出願人として記載されていない場合、当初の記録上、発明者が出願人とされることがある。会社は後に出願人となることを求めることができるが、訂正後の出願データシートを提出し、Rules 3.71および3.73に基づく手続権限を立証しなければならない。37 C.F.R. §§ 1.46(c)(2), 3.71, 3.73 (2026); MPEP §§ 325, 605.01.
雇用主が単独出願人となるためには、全権益を保有しているか、全権益を取得する権利を有していなければならない。二人が請求項に係るシステムを共同で発明し、一方のAcme社従業員はAcme社に譲渡したが、外部コンサルタントは譲渡しておらず、「agreed to assign(譲渡する旨を合意した)」こともない場合を想定する。Acme社は、自社のみを単独出願人として記載するだけで、コンサルタントに関する問題を解決することはできない。欠けている権益が先に集約されない限り、Acme社と、権利が確保されていない当該発明者が共同で出願する必要があり得る。MPEP § 605.01. この権利帰属の問題は重大である。譲渡がない場合、各共同発明者は通常、不可分の持分を保有し、他の権利者の同意なく特許発明を実施し、またはライセンスすることができるためである。Ethicon, Inc. v. U.S. Surgical Corp., 135 F.3d 1456, 1460, 1466–68 (Fed. Cir. 1998).
IV. 従業員発明者を出願人として出願する場合
従業員が発明を雇用主に譲渡済みであるか、または譲渡しなければならない場合であっても、従業員発明者を出願人として出願することは法的に認められる。出願人である従業員が委任状に署名し、代替陳述書を利用できる場合を除き、実際の各発明者が必要な宣誓書または宣言書に署名する。複数の者が出願人である場合、各出願人は通常、同一の代理人を選任する委任状に署名しなければならない。37 C.F.R. § 1.32(b)(4) (2026); MPEP § 402.
この方法は、権利帰属関係を十分に調査する前に出願期限が到来した場合に有用となり得る。特定の会社が正当な譲受人または譲渡義務の相手方であると時期尚早に表明することを避けられるからである。会社設立前に着想された発明、従業員とコンサルタントからなる混成チームによる発明、組織再編中になされた発明、または雇用契約に記載された法人と出願を依頼する法人とが異なる状況についても、同様に慎重な対応が適切となり得る。
発明者を出願人として記載しても、雇用主が別途譲渡を受け、これを記録することは妨げられない。また、該当する譲渡が記録され、必要な請求が行われた場合に、雇用主の名義で特許が発行されることも妨げられない。35 U.S.C. § 152; 37 C.F.R. § 3.81(a) (2026). 言い換えれば、発明者が出願人としての地位を有することは、発明者が引き続き権利者となる旨の表明ではない。
この方法の主な欠点は、管理統制にある。出願人は、代理人を選任し、USPTOにおける審査手続を管理する本人である。従業員が退職しても、発明者が署名した既存の委任状は自動的には終了しないため、その委任が有効である間、代理人は通常の審査手続を継続できることがある。問題が顕在化するのは、雇用主が代理人を交代させ、既存の委任を撤回し、またはその他の形で本人として行為しようとする場合である。譲渡を記録しても、発明者である出願人が自動的に交代するわけではなく、その委任状が自動的に撤回されるわけでもない。譲受人は、従前の出願人を排して審査手続を行う前に、自らの権利帰属を立証し、出願人とならなければならない。37 C.F.R. §§ 1.36(a), 1.46(c)(2), 3.71(a), 3.73 (2026); MPEP §§ 325, 402.
継続出願実務においても、同じ弱点が顕在化し得る。必要な写しが提出されれば、原出願の委任状が継続出願でも効力を有することがある。しかし、その委任状を発明者が付与しており、かつ継続出願に原出願では記載されていなかった発明者が記載される場合は、この限りでない。係属中の出願に発明者を追加する場合も、追加された発明者が同一内容の委任状を提出しない限り、発明者が付与した委任状が効力を失うことがある。37 C.F.R. § 1.32(d)–(e) (2026); MPEP § 402.02(a). したがって、連絡不能または敵対的な元従業員がいると、本来は会社代表者一人の署名で済むはずの事柄が、出願人変更手続と、別個の権利連鎖の立証を要する事柄に変わり得る。
誰が代替陳述書に署名できるかも、出願人としての地位によって決まる。発明者が出願人である場合、残る共同発明者である出願人は、宣誓書への署名を拒否するか、または所在を確認できずもしくは連絡が取れない共同発明者に代わって署名することができる。しかし、単独発明者である出願人は、自己について代替陳述書に署名することはできない。死亡し、または法的無能力となった発明者については、通常、Rule 1.43に定める経路を通じて、または適格な非発明者である出願人によって代理されなければならない。残る共同発明者が、その発明者の法定代理人になるわけではない。37 C.F.R. §§ 1.43, 1.45(a), 1.64(a) (2026); MPEP §§ 409.01(a), 409.02, 604.
雇用主が現在の権原ではなく、「future promise to assign(将来譲渡するとの約束)」のみを有する場合、問題は一層困難となる。後に出願人を発明者から雇用主へ変更するには、権利帰属の立証を含め、Rules 3.71および3.73を遵守しなければならない。37 C.F.R. §§ 1.46(c)(2), 3.71, 3.73(c) (2026); MPEP § 325. 法的強制力のある譲渡義務に基づき雇用主をRule 1.46に基づく当初出願人として記載すれば、こうした後の手続上の障害を回避できる。ただし、その場合でも法的権原が移転するわけではない。
V. 雇用主を出願人として出願する場合
雇用主の出願資格が明確である場合、雇用主を出願人として記載する方が、通常、より明確で円滑な審査手続の体制となる。会社は出願データシートにRule 1.46に基づく出願人として記載され、権限を有する会社代表者が委任状に署名する。これにより会社は、各発明者から新たな委任状を取得することなく、審査手続を指揮し、継続出願および分割出願を管理し、代理人を交代させることができる。37 C.F.R. §§ 1.32, 1.46, 3.71 (2026); MPEP § 402.
この仕組みは、従業員が退職し、または非協力的になった場合にも継続性をもたらす。会社が出願人であるため、権限を有する会社代表者は、元従業員から新たな委任状を得ることなく、審査手続の代理人を選任または交代させることができる。発明者が宣誓書または宣言書に署名していない場合、当該発明者が死亡し、法的無能力となり、宣言書への署名を拒否し、または相当な努力を尽くしても所在を確認できずもしくは連絡が取れないときは、出願人である雇用主が代替陳述書に署名することができる。35 U.S.C. § 115(d); 37 C.F.R. § 1.64(a) (2026).
退職したという事実だけでは、これらの事由のいずれにも該当しない。連絡可能で、まだ拒否していない元従業員には、通常、出願を確認して宣言書に署名するよう求めるべきである。従業員が拒否した場合、案件ファイルには依頼と拒否の記録を保存すべきである。従業員の所在を確認できず、または連絡が取れない場合、案件ファイルには、相当な努力として用いた合理的な連絡手段を記録すべきである。通常、代替陳述書とともに証拠を提出する必要はないものの、USPTOは、発明者の署名を得ようとした試みの証拠を保管するよう出願人に指示している。代替陳述書に署名する者は、請求項を含む出願内容を確認して理解し、情報開示義務を認識していなければならない。法人である出願人の場合、署名者は会社のために行為する権限を有していなければならない。審査手続に関する委任状だけでは、外部代理人に代替陳述書へ署名する権限は与えられない。37 C.F.R. § 1.64(b)–(c) (2026); MPEP § 604.
署名していなかった発明者が後に宣言書を提出して手続に加わっても、その行為によって当該発明者に、Rule 1.46に基づく出願の委任状を付与または撤回する権限が与えられるわけではない。37 C.F.R. § 1.64(f) (2026); MPEP §§ 402.02(a), 604. 全権益の譲受人を当初出願人として記載することには、さらに後の段階での利点があり得る。すなわち、原出願が全権益の譲受人によってRule 1.46に基づき提出されていた場合、その譲受人は、権利範囲を拡張する再発行であっても、再発行宣誓書に署名することができる。37 C.F.R. § 1.175(c)(2) (2026); MPEP § 1410.
もっとも、雇用主が出願人としての地位を有することには、それ自体のリスクもある。担当弁護士は、正しい法人を特定しなければならない。親会社、従業員を雇用する子会社、知的財産保有会社および商業上のブランドは、相互に置き換えられるものではない。関係文書により発明がある法人へ譲渡されている一方、出願指示では別の法人が記載されている場合がある。また、合併、法人形態の変更または資産譲渡により、一部の出願のみが移転し、他の出願は移転していない場合もある。
出願人の指定によって、これらの瑕疵を治癒することはできない。出願データシートにAcme Holdings Inc.を記載しても、従業員に権利が帰属する発明、またはAcme Research LLCへの譲渡義務の対象となる発明について、権利を移転させるものではない。また、コンサルタントからの譲渡が欠けている場合に、その欠缺を補うものでもない。せいぜい、その指定は、特定された主体がRule 1.46で認められた根拠の一つを有すると主張するにとどまる。権利帰属の分析は、なお独立に完了させなければならない。
VI. 雇用関係のみを理由に特許に係る権利が移転することはない
最も重要な実体的論点であるにもかかわらず、最も見落とされがちなのは、雇用主が従業員の生み出したすべての発明について当然に権利を有するわけではないという点である。連邦最高裁判所は、契約または限定的なコモンロー上の法理に別段の根拠がない限り、発明者を当初の権利者として繰り返し扱ってきた。Stanford, 563 U.S. at 785–87; United States v. Dubilier Condenser Corp., 289 U.S. 178, 187–89 (1933).
したがって、明示的な書面による発明譲渡契約を出発点とするのが最も確実である。当該契約については、その範囲、準拠法、発効日、除外発明、退職後に関する条項、協力義務、および譲受主体の法的同一性を検討すべきである。法律顧問はさらに、当該契約が現在の譲渡を実現するものか、単に将来の譲渡に関する契約上の義務を生じさせるにとどまるものかを判断すべきである。
連邦巡回区控訴裁判所の判例は、“hereby assigns”(本書により譲渡する)のように、将来の発明を現在譲渡する文言と、従業員が将来“will assign”(譲渡するものとする)または“agrees to assign”(譲渡することに同意する)と約束する文言とを区別してきた。現在の譲渡は、対象となる発明が成立した時点で自動的に効力を生じ得るのに対し、譲渡の約束によって法的権原を移転するには、後の譲渡行為が必要となり得る。FilmTec Corp. v. Allied-Signal Inc., 939 F.2d 1568, 1572–73 (Fed. Cir. 1991); Bd. of Trs. of Leland Stanford Junior Univ. v. Roche Molecular Sys., Inc., 583 F.3d 832, 841–42 (Fed. Cir. 2009), aff’d, 563 U.S. 776 (2011). もっとも、個々の文言を切り離して評価すべきではなく、契約は準拠法に基づき全体として解釈しなければならない。Omni MedSci, Inc. v. Apple Inc., 7 F.4th 1148, 1152, 1154, 1156–57 (Fed. Cir. 2021).
Stanford事件は、その重要性を示している。Stanfordの契約には、研究者が発明を大学に“agree[d] to assign”(譲渡することに同意する)と規定されていた一方、後にCetusとの間で締結された契約には、同研究者がCetusに対して自己の権利を“will assign and do[es] hereby assign”(将来譲渡し、かつ本書により譲渡する)と規定されていた。連邦巡回区控訴裁判所は、後者の文言が現在の譲渡を実現し、Stanfordが後に取得した譲渡に優先すると結論付けた。Stanford, 583 F.3d at 837, 841–42. 連邦最高裁判所は、バイ・ドール法上の争点について原判決を維持したが、連邦巡回区控訴裁判所によるこれらの契約の解釈は、明示的に審理の対象としなかった。Stanford, 563 U.S. at 784 n.2. Stanfordが当該特許の出願手続を遂行したという事実も、権利連鎖の瑕疵を治癒しなかった。
コモンロー上の法理による保護は、より限定的である。特定の課題を解決するため、または発明能力を発揮するために特に雇用された従業員は、その結果生じた発明について譲渡義務を負い得る。Standard Parts Co. v. Peck, 264 U.S. 52, 58–60 (1924). しかし、技術職または研究職として一般的に雇用されているだけでは、その従業員が当該特定の対象について「発明を目的として雇用された」ことが必ずしも認定されない。Dubilier, 289 U.S. at 187–90. 従業員が雇用主の時間または資源を用いて発明しながら当該発明に係る権利を保持する場合、雇用主が取得し得るのは、当該発明を実施するための非独占的な「ショップ・ライト(shop right)」にすぎない。Id. at 188–89. ショップ・ライトは権利帰属そのものではなく、雇用主を単独の譲受人兼出願人として記載したり、§ 102(b)(2)(C)を適用したりする通常の根拠として扱うべきではない。また、特許担当の法律顧問は、著作権法上の「職務著作(work made for hire)」の法理を特許権の帰属分析に持ち込むべきではない。
州法により、従業員発明に関する条項がさらに制限される場合がある。例えばカリフォルニア州では、法定の例外に服するものの、従業員が専ら自己の時間を用い、かつ法所定の雇用主の資源を使用せずに開発した一定の発明が対象から除外される。Cal. Lab. Code § 2870(a) (West 2026). 連邦巡回区控訴裁判所はまた、取引制限に関するカリフォルニア州の禁止規定に基づき、所定の要件に該当する退職後の発明の譲渡を要求する過度に広範な条項について、執行を認めなかった。Whitewater West Indus., Ltd. v. Alleshouse, 981 F.3d 1045, 1051–57 (Fed. Cir. 2020). 他州も独自の制限を制定している。したがって、従業員の譲渡義務の有効性および範囲は、職名に基づく推定ではなく、州法および具体的事実に即した分析を要する。
VII. 発明者の宣言書は譲渡書ではない
雇用主が出願人である場合でも、実際の発明者は通常、自らが請求項に係る発明の原発明者または共同発明者であると信じる旨を述べ、かつ当該出願を承認する宣誓書または宣言書に署名しなければならない。35 U.S.C. § 115(a)–(b); 37 C.F.R. § 1.63(a) (2026). Rule 1.46は、譲受人、または発明者が譲渡義務を負う相手方によって提出された出願についても、この要件を明文で維持している。37 C.F.R. § 1.46(d) (2026).
宣言書は法的権原を移転するものではない。宣言書は、発明者性および発明者による法定の表明を扱うものである。譲渡は、権利帰属を扱うものである。文書が要求される宣言事項を含み、かつ適用される規則をその他の点でも満たす場合、両機能を一つの証書に組み込むことはできるが、それぞれの法的機能はなお別個である。35 U.S.C. § 115(e); 37 C.F.R. § 1.63(e) (2026).
同様に、代替陳述書は、発明者の署名を取得するのに時間を要する場合にいつでも使える便宜的な代替手段ではない。利用できるのは、死亡、法的無能力、拒否、または相当な努力を尽くしても発明者の所在を把握できず若しくは連絡を取れないことを含む、所定の事由がある場合に限られる。35 U.S.C. § 115(d); 37 C.F.R. § 1.64(a) (2026). 出願記録には、適用される根拠を記録しておくべきであり、特に拒否または相当な努力の有無が後に問題とされ得る場合はそうである。
ここでいう拒否とは、発明者の宣誓書または宣言書への署名を拒否することである。元従業員が譲渡書への署名、外国出願への協力、技術的質問への回答、または証言の提供を拒んでも、Rule 1.64に定める条件のいずれかが別途存在しない限り、それ自体で代替陳述書を使用する根拠となるわけではない。代替陳述書が治癒するのは宣誓書または宣言書の欠缺であり、法的権原を移転したり、より広範な協力を強制したりするものではない。
したがって、宣言書の取得は、無期限に先送りするのではなく、出願時または従業員の退職時手続の一環として扱うべきである。従業員は署名前に、クレームを含む出願内容を確認し理解していなければならないため、法律顧問は、特定可能な出願と結び付かない汎用的な宣言書を求めるべきではない。37 C.F.R. § 1.63(c) (2026). もっとも、一旦、要件を満たす宣言書が作成され提出されれば、USPTOは一般に、後にクレームが変更されたというだけの理由で、同一出願またはその出願に基づき成立した特許について同等の陳述を発明者に繰り返させることはできない。35 U.S.C. § 115(h)(2).
したがって、適切な実務は、二本立てで手続を完結させることである。出願・審査手続のトラックでは、発明者性、出願人の特定、出願データシート、委任状、および発明者の宣言書または代替陳述書を扱う。権利帰属のトラックでは、雇用契約、出願別の譲渡、すべての共同発明者の持分、正しい法人譲受人、譲渡の登録、外国における権利、継続出願に対する譲渡の適用範囲、およびその後の権利帰属の変更を扱う。一方のトラックを完了しても、他方を完了したことにはならない。
VIII. 発明者が退職し、連絡が取れず、または協力を拒む場合
退職した発明者に関する問題は、すべて同じではない。元従業員が引き続き連絡可能で協力的な場合もあれば、相当な努力を尽くしても真に連絡不能である場合や、会社の権利を積極的に争う場合もある。出願規則が対象とするのは、現実の拒否および連絡不能であって、通常の不便ではない。したがって、最も安全な特許ポートフォリオとは、困難な退職時手続を、より早期に完了できたはずの作業に代わる法定の手段と位置付けることに依存しないものである。
A. 出願手続を遂行する権限と権利帰属は乖離し得る
権利帰属を裏付ける書類がまだ完全に整備されていない場合、雇用主が出願人であることは、手続の継続性を確保する手段として最も価値がある。§ 118およびRule 1.46は、法的強制力のある譲渡義務の履行を受ける地位にある者が、別個の譲渡行為によって法的権原がまだ移転していなくても出願することを認めている。35 U.S.C. § 118; 37 C.F.R. § 1.46(a) (2026). 他方、発明者を出願人のままとしていた雇用主が、後にRules 3.71および3.73に基づいて手続上の主導権を取得しようとする場合、通常は権利帰属を立証しなければならない。雇用契約が将来の譲渡を約束するにすぎず、元従業員がその履行を拒む場合、会社は、権利連鎖を完成させ、または単独の譲受人たる出願人として行動できるようになる前に、契約の履行を強制する必要が生じ得る。
退職後には、現在の譲渡と将来の譲渡の約束との区別がとりわけ重要となる。現在の譲渡を実現する文言は、発明が成立した時点で対象権利を自動的に移転し得るが、権利が“will be assigned”(譲渡されるものとする)と定める文言は通常、そのような効果を有しない。Arachnid, Inc. v. Merit Indus., Inc., 939 F.2d 1574, 1580–81 (Fed. Cir. 1991); FilmTec Corp. v. Allied-Signal Inc., 939 F.2d 1568, 1572–73 (Fed. Cir. 1991). AIA施行前の示唆的な紛争は、二つのトラックが実務上どのように分かれるかを示している。大学は、発明者の協力を得ずに特許出願手続を進めることができたが、約束された譲渡を強制するためには別途訴訟を提起しなければならなかった。Univ. of W. Va. Bd. of Trs. v. VanVoorhies, 278 F.3d 1288, 1292–99 (Fed. Cir. 2002). 現行の代替陳述書制度はこれとは異なるが、教訓は変わらない。すなわち、発明者の署名なしに出願手続を遂行できることと、権利帰属を有することとは同一ではない。
B. 継続出願と発明者性の訂正
元従業員が、継続出願または分割出願のたびに新たな宣言書に署名しなければならないとは限らない。親出願において要件を満たす宣誓書、宣言書または代替陳述書が作成され提出されており、所要の写しが継続系出願に提出される場合、当該書面をその継続系出願に用いることができる。37 C.F.R. § 1.63(d)(1) (2026); MPEP § 602.05(a). もっとも、親出願で要件を満たす陳述書に署名していない新たな追加発明者は、宣誓書または宣言書を提出するか、適切な代替陳述書によって代替されなければならない。37 C.F.R. §§ 1.48(b), 1.63(d)(3) (2026).
クレームの補正により、審査手続中に発明者性が変わることがある。係属中の出願は、35 U.S.C. § 116およびRule 1.48に基づき、所定の請求書、訂正済みの出願データシートおよび所定の手数料を提出することによって訂正できる。その手続では通常、当初記載されたすべての発明者が訂正を承認する必要はないが、新たに追加された発明者は、宣誓書または代替陳述書に関する要件を満たさなければならない。37 C.F.R. § 1.48(a)–(c) (2026); MPEP § 602.01(c)(1). 発明者性を訂正しても、それ自体で権利帰属が一つに集約されるわけではない。追加された元従業員が権利を保持していた場合、会社が出願人としての地位を有していても、その者は不可分の持分を保持し得る。See Stanford, 563 U.S. at 785–87; Ethicon, 135 F.3d at 1460.
特許発行後は、問題への対応がより困難になる。§ 256およびRule 1.324に基づく行政上の訂正には、関係する発明者の陳述書および関係する譲受人の同意が必要である。協力しない元従業員は、USPTOにおける合意に基づく訂正を妨げ得るため、§ 256(b)に基づく裁判所命令による訂正が、より費用のかかる代替手段として残る。35 U.S.C. § 256(a)–(b); 37 C.F.R. § 1.324(b) (2026); MPEP § 1481.02. 発明者性は、特に当初出願後にクレームが実質的に補正された場合、特許査定前に再検討すべきである。
C. 協力が得られなくなる前に証拠を保全する
連絡不能な発明者がいることによって、特許が当然に無効となるわけでも、その後の出願・審査手続が妨げられるわけでもない。より一般的な問題は証拠に関するものである。後の紛争では、発明の着想、特定のクレームへの貢献、譲渡義務の範囲と発生時期、開示の出所、または会社が発明者の陳述に依拠する権利を有することの立証が必要となり得る。発明者性に対する異議には厳格な立証が求められ、共同発明者であると主張する者の証言は通常、補強証拠を要する。BearBox LLC v. Lancium LLC, 125 F.4th 1101, 1117–19 (Fed. Cir. 2025). したがって、同時期に作成された発明開示書、ノート、設計記録、ソースコード・リポジトリ、電子メール、証人に関する情報、締結済み契約書、およびクレームの対応関係を整理したメモランダムは、関係が悪化した後に記録を再構成しようとするよりも信頼性が高い場合がある。
退職の通知を受けた時点で、特許に関する退職時レビューを開始すべきである。会社は、当該従業員の発明開示および特許ファミリーを棚卸しし、未了の宣言書および譲渡書を特定し、出願人および委任状に関する記録を確認し、最新の連絡先情報を保存し、予定されているクレームまたは継続出願が発明者性を変更し得るかを判断し、関係法人の権利連鎖を立証するために必要な文書を記録・保存すべきである。目的は、元従業員を記録から外すことではない。雇用終了後に、出願手続を遂行する権限、権利帰属、および過去の経緯を裏付ける証拠が、自発的な協力に依存する事態を防ぐことである。
IX. 出願人としての地位と先行技術の適用可能性
発明者、出願人および権利者の区別は、企業による先の特許出願が後の出願に対して引用される場合にも重要である。支配的な原則は明快であり、出願人の指定それ自体は先行技術の範囲を変えるものではない。
A. § 102(a)(2)が着目するのは出願人の同一性ではなく発明者性である
§ 102(a)(2)は、請求項に係る発明の有効出願日より前に実質的に出願され、かつ「他の発明者を記載している」一定の米国特許、米国特許出願公開公報および要件を満たすWIPO公開公報を対象とする。35 U.S.C. § 102(a)(2), (d). 問題となるのは発明者の構成であり、出願データシートに記載された出願人ではない。
全く同一の発明者構成を記載した先の特許文書は、通常、「他の発明者を記載している」という要件を満たさない。しかし、発明者が一人でも異なれば発明者構成は異なるため、法定の例外が適用される場合を除き、その先の文書は§ 102(a)(2)に該当し得る。MPEP § 2154.01(c). 後の出願の出願人を従業員から雇用主へ変更しても、発明者性は変わらないため、この分析に影響はない。
B. 共通所有または譲渡義務に基づく例外
§ 102(b)(2)(C)は、開示された主題と請求項に係る発明が、遅くとも当該発明の有効出願日までに同一の者に所有され、または同一の者への譲渡義務の対象となっていた場合、そうでなければ§ 102(a)(2)に該当する開示を先行技術から除外する。35 U.S.C. § 102(b)(2)(C). この例外を適切に援用すれば、該当する主題を§ 102に基づく新規性欠如の拒絶または§ 103に基づく自明性を理由とする拒絶の根拠とすることができなくなる。MPEP §§ 717.02(b), 2154.02(c).
決定的な事実は、当時の権利帰属および法的強制力のある譲渡義務である。従業員が引き続き出願人であっても、基準日までに両発明がAcmeに所有され、またはAcmeへの法的強制力のある譲渡義務の対象となっていたのであれば、§ 102(b)(2)(C)が適用され得る。Acmeが出願人として記載されていても、その日までに関連する権利を所有せず、有効な譲渡義務も存在しなかったのであれば、出願人という表示によって例外が成立することはない。
この点は、Rule 1.46と§ 102(b)(2)(C)に関する検討が、重なり得るものの同一ではない理由も示している。譲渡義務を発生させる雇用契約は、雇用主が出願人として出願する権限の根拠となると同時に、先行技術に関する例外の根拠にもなり得る。しかし、出願データシートも、「十分な財産上の利益」のみに基づく出願人としての地位も、§ 102(b)(2)(C)の意味における共通所有または譲渡義務を立証するものではない。
C. 時期が決定的となり得る
権利帰属または法的強制力のある譲渡義務は、遅くとも請求項に係る発明の有効出願日までに存在していなければならない。35 U.S.C. § 102(b)(2)(C). 有効出願日は請求項ごとに決まるため、基準日は、当該請求項を裏付ける仮出願その他の優先権出願の出願日となることがある。See 35 U.S.C. § 100(i).
法的拘束力のある義務が有効出願日までにすでに存在していたのであれば、後日締結された確認的譲渡が必ずしも致命的となるわけではない。反対に、基準時に要件を満たす権利帰属または義務が存在しなかった場合、出願後の譲渡によって例外を遡及的に成立させることはできない。各出願が現在は共通所有されている旨を現時点で陳述するだけでは不十分である。道義的な期待その他法的強制力のない譲渡への期待も足りない。MPEP § 717.02(a).
この時期に関する規則は、ポートフォリオの受入時調査にも反映すべきである。自社内の§ 102(a)(2)引用文献を評価する弁護士は、影響を受ける各請求項の有効出願日、従業員との契約の日付および適用範囲、各発明が譲渡された、または譲渡義務の対象となった法人、ならびに出願ごとの譲渡が既存の義務を単に確認したものか、それとも関連する義務を初めて発生させたものかを特定すべきである。
従業員が後に退職しても、有効出願日に要件を満たす譲渡義務が存在していたか否かは変わらないが、その当時の事実の立証は困難になり得る。企業は、締結済みの雇用契約およびその変更契約、各契約の発効日、従業員の在職期間、発明届出書、出願ごとの譲渡書、ならびに譲受人として記載された者と現在の権利者とのつながりを示す合併または承継に関する文書を保存すべきである。後日の確認的譲渡は先行する義務の証拠となり得るが、その義務を遡及的に発生させることはできない。MPEP § 717.02(a). したがって、記録の整備を、§ 102(a)(2)に基づく拒絶が生じた後に元従業員から宣誓書を取得できるか否かに依存させるべきではない。
D. 共通所有は完全で、かつ正しく整合していなければならない
USPTOは、共通所有について、拒絶で依拠された主題の全てと請求項に係る発明の全てが、同一の者または同一構成の所有者集団に所有されていることを要求している。100パーセント未満の所有では、一般に要件を満たさない。MPEP § 717.02(a).
この要件は、企業にとって繰り返し生じる落とし穴をもたらす。親会社が所有する先の引用文献と、子会社が所有する後の発明は、両社が関連会社であるというだけでは共通所有とはならない。異なる子会社も同様に、それぞれ別個の法人である。権利取得の対象となっていないコンサルタントまたは大学所属の共同発明者がいると、権利関係の整合が妨げられ得る。ライセンサーが基本的な所有権を留保している場合、通常、ライセンスによって共通所有が成立することはない。Id. もっとも、例外の要件を満たす必要があるのは、拒絶において実際に依拠された主題のみであり、同一の引用文献中の他の開示は引き続き利用可能な場合がある。
E. 例外は強力であるが限定的である
§ 102(b)(2)(C)が適用されるのは、§ 102(a)(2)に基づく先行技術のみである。この例外は1年間のグレース・ピリオドによる制限を受けないが、§ 102(a)(1)に基づき独立して先行技術に該当する文書を除外するものではない。MPEP § 2154.02(c). 自社の先の特許または出願が、後の請求項の有効出願日より前に公衆に利用可能となっていた場合、共通所有であっても、その公開または特許発行は§ 102(a)(1)に基づく先行技術であり続ける可能性がある。
また、この例外は、先の特許文書の請求項に基づく法定二重特許または自明性型二重特許を排除するものでもない。さらに、当該文書を§§ 102または103に基づく先行技術として使用できない場合であっても、実施可能性、内在性または技術水準の証拠として重要であり得る。MPEP §§ 717.02(b), 2154.02(c).
状況 | 指定された出願人 | 想定される§ 102(b)(2)(C)上の帰結 |
両発明が有効出願日までにAcmeへの法的強制力のある譲渡義務の対象となっていた | 従業員 | 発明者が出願人であっても例外が適用され得る |
Acmeが出願人として記載されているが、有効出願日までに要件を満たす権利帰属または義務が存在しなかった | Acme | 出願人の指定だけでは例外は成立しない |
確認的譲渡が後に署名されたが、有効な義務はそれ以前に存在していた | いずれでも | 後日の署名によって必ずしも例外が否定されるわけではない |
最初の譲渡義務が有効出願日後に初めて発生した | いずれでも | 通常、後日の譲渡によって問題を治癒することはできない |
先の引用文献を親会社が所有し、後の発明を子会社が所有している | 雇用主たる法人 | 関連会社であるというだけでは通常不十分である |
先の出願が、後の請求項の有効出願日より前に公開された | いずれでも | 当該文書は引き続き§ 102(a)(1)に基づく先行技術となり得る |
F. USPTOにおける例外の援用
通常、この例外は、拒絶で依拠された主題と請求項に係る発明が、遅くとも有効出願日までに同一の者に所有され、または同一の者への譲渡義務の対象となっていた旨を、明確かつ目立つ形で陳述することにより援用する。37 C.F.R. § 1.104(c)(4)(i) (2026); MPEP § 717.02(a). 発明者が引き続き出願人である場合でも、Rule 1.33(b)に基づき権限を有する実務家がこの陳述書に署名できる。したがって、この例外を主張するために、雇用主が出願人である必要はない。
譲渡が記録されている場合であっても、この陳述は必要である。独立した証拠によって重大な疑義が生じない限り、通常、裏付けとなる契約書、譲渡書、宣誓書または裁判所の判断を陳述書に添付する必要はない。MPEP § 717.02(a)–(b). それでも弁護士は、陳述を行う前に事実上の根拠を確認し、保存すべきであり、特に、関係する発明者が退職しており、後に協力を得られない可能性がある場合はなおさらである。雇用主が出願人であること、基準日後の譲渡、または応答時にのみ共通所有であることは、§ 102(b)(2)(C)が要求する過去の事実を立証しない。この提出は、主として§ 102(b)(1)(A)–(B)および§ 102(b)(2)(A)–(B)に基づく、発明者に由来する開示および先行公開に関する例外を実施するRule 1.130宣誓書と混同すべきではない。See 37 C.F.R. § 1.130 (2026); MPEP §§ 717.01, 717.02.
§ 102(c)は、要件を満たす書面による共同研究契約の下で行われた一定の研究について、別の手段を定めている。当該契約は有効出願日以前に発効していなければならず、請求項に係る発明はその契約の範囲内の活動から生じたものでなければならず、かつ出願に当事者を明記し、または当事者を明記するよう補正しなければならない。35 U.S.C. §§ 100(h), 102(c); 37 C.F.R. §§ 1.71(g), 1.104(c)(4)(ii) (2026). ここでも、出願人が誰であるかは決定的な事実ではない。
注目すべき限定的な手続上の効果が一つある。同時係属中の二つの出願に共通の出願人、共通の発明者または共通の譲受人がいる場合、USPTOは、先に出願され、なお未公開の出願に基づき、§ 102(a)(2)または§ 103による暫定的な拒絶を行うことがある。MPEP § 2154.01(d). 両出願において雇用主を出願人として記載すれば、その関係がより早期に明らかになる可能性がある。これにより暫定的な拒絶が示される時期は変わり得るが、§ 102(b)(2)(C)を適切に援用した後の引用文献の最終的な法的地位が変わるわけではない。
X. 権利帰属の文書化と出願人の指定は並行して行うべきである
企業は、正確な出願人関係書類と正確な権利帰属関係書類のいずれか一方を選ぶべきではない。双方が必要である。出願手続ファイルには、正しい発明者および法的根拠のある出願人を明記し、有効な委任状を含め、必要な宣誓書または代替陳述書を収録すべきである。権利帰属ファイルでは、全ての発明者から予定された法人に至る権利連鎖を立証すべきである。
従業員発明については、通常、この権利帰属ファイルに、適用される雇用契約および出願ごとの譲渡書を含めるべきである。出願ごとの文書により、特許ファミリー、外国における権利、継続出願および分割出願への適用、優先権を主張する権利、ならびに発明者の継続的な協力義務を確認できる。また、即時譲渡条項によって権利が自動的に移転したとの主張が可能な場合であっても、デュー・ディリジェンスに適した明確な記録を残すことができる。
このような文書整備の時期は、実務上重要である。元従業員が署名を拒否した場合、協力条項に基づく契約上の救済を求められることがあるが、その執行には遅延と費用が伴い得る。より確実なのは、従業員の協力を得られるうちに、当該時点で効力を生じる出願ごとの譲渡書を取得し、当該出願、その優先権、継続出願、分割出願、再発行、外国対応出願およびその他対象とするファミリー構成員を明示的に含むよう起草することである。
一部継続出願には特に注意を要する。親出願に係る譲渡は、共通する主題については一般に継続出願または分割出願にも及ぶが、一部継続出願で初めて開示された新規事項に関する権利を自動的に移転するものではない。MPEP § 306. 子出願について別途記録することにより、公開された権利連鎖も一層明確になる。雇用主を出願人として記載すれば、出願手続および特許付与を簡素化できるが、子出願の主題に及ぶ十分に広範な権利移転に代わるものではない。
譲渡は速やかに記録すべきである。§ 261は、譲渡を書面で行うことを要求し、譲渡日から3か月以内または後発取引の前に記録されない限り、未記録の譲渡を、通知を受けずに有償で権利を取得した後の購入者または抵当権者に劣後させ得る。35 U.S.C. § 261. USPTOへの記録は、通知および権利連鎖の実務上重要であるが、事務的な手続にすぎず、基礎となる文書の有効性を裁定するものではない。37 C.F.R. § 3.54 (2026); MPEP § 317.03.
元従業員関係の書類が欠けていることは、資金調達、買収、ライセンスおよび権利行使に関するデュー・ディリジェンスにおいて、とりわけ重大な結果をもたらす。記載漏れとなった発明者が持分を保持していた場合、その共有者は通常、企業の同意なく特許を実施し、またはライセンスすることができ、侵害訴訟には通常、共同当事者として参加しなければならない。35 U.S.C. § 262; Ethicon, 135 F.3d at 1460, 1467–68. 出願人の指定およびUSPTOへの記録によって、瑕疵ある権利移転が治癒されることはない。したがって、敵対的な元従業員の署名取得に権利帰属が依存するポートフォリオは、出願手続が中断なく継続していたとしても、取引および権利行使がより困難になる。
同じ区別は、手数料上の地位にも当てはまる。発明者が、要件を満たさない事業体に権利を譲渡し、または譲渡する義務を負っている場合、引き続き記名出願人であることによって小規模事業体としての適格性を作り出すことはできない。小規模事業体およびマイクロ・エンティティの判定は、出願人欄の表示ではなく、実際の権利、ライセンスおよび譲渡義務に基づいて行われる。37 C.F.R. §§ 1.27(a), 1.29 (2026); MPEP §§ 509.02, 509.04.
XI. 弁護士は、依頼者が誰であるかも明確にすべきである
企業が出願手続を担当する弁護士を起用する一方で従業員が出願人として記載される場合、委任契約および連絡において、弁護士が誰を代理するのかを明確にすべきである。発明者が出願人であるからといって、その発明者が必ずしも個人としての依頼者になるわけではないが、この区別を説明しなければ、出願手続の記録によって混乱が生じ得る。
従業員は、発明者宣言書、譲渡書および委任状がそれぞれ異なる機能を果たすことを理解すべきである。従業員と雇用主の間で、発明者性、権利帰属、報酬、譲渡の範囲または権利の処分について意見が対立した場合、弁護士は、両者の利害が分かれたか否か、および代理を継続することが許されるか否かを検討すべきである。See 37 C.F.R. § 11.107(a)–(b) (2026); Model Rules of Pro. Conduct r. 1.13(f) (Am. Bar Ass’n 2024).
XII. 結論
従業員発明者を出願人とするか、雇用主である譲受人を出願人とするかという選択は、単なる形式上の問題ではない。この選択により、誰が正式に出願手続を指揮するかが決まり、事務手続の継続性に重大な影響を及ぼし得る。しかし、請求項に係る主題を誰が発明したかは変わらず、それ自体によって権利帰属が移転することもなく、先の特許出願が先行技術に該当するか否かが決まることもない。
雇用主の権原および法人としての同一性が明確である場合、通常、雇用主をRule 1.46に基づく出願人として記載することが最も明快な構成となる。それでも企業は、譲渡を取得して記録し、既存の譲渡義務を設定する従業員との契約を保存し、全ての共同発明者の持分が対象となっていることを確認し、各請求項の有効出願日時点における関連する権利帰属を監査すべきである。
元従業員が対応できないことによって、協力を得られる間に適切に構築されたポートフォリオが通常損なわれるわけではない。むしろ、それによって明らかになるのは、出願手続上の権限、譲渡の適用範囲、発明者性に関する記録および過去の権利帰属に関する証拠が、争いとなる前に確保されていたか否かである。
したがって、最も確実な整理は単純である。発明者性は、請求項に係る発明を着想した自然人を特定する。出願人としての地位は、誰がUSPTOに対して手続を行うかを特定する。権利帰属は、誰が権利を保有するかを特定する。そして、§ 102(b)(2)(C)において決定的なのは、出願人という表示ではなく、権利帰属または法的強制力のある譲渡義務である。





